上院の広範な通信関連法案に盛り込まれているネットの中立性に関する規定の最新版が公開された。だが、インターネット企業や消費者擁護団体からの全ての要求事項に応える内容にはならなかったようだ。
米国時間6月19日に開かれた記者への説明会の中で、包括的なConsumer's Choice and Broadband Deployment Act(消費者の選択とブロードバンドの展開に関する法)の最新版に含まれる新規定が正式に発表された。それによると、連邦通信委員会(FCC)には、オンライン活動の「妨害」に対する加入者からの苦情について調査し、違反者に罰金を科す権限が与えられている。
同法案(PDFファイル)の特筆すべき点は、全てのインターネットサービスプロバイダー(ISP)に対し、「インターネット消費者の権利章典」と呼ばれる規定の遵守を義務付けている点だ。その表題の下には、9つの規定の概要が示されている。例えば、「消費者は、合法的な全てのコンテンツの利用や掲載、また全てのウェブページ、検索エンジン、アプリケーション(音声、映像プログラムも含む)へのアクセス、および、その運営が認められる」「(消費者は)合法的なあらゆる機器をネットワークに接続できる」などと規定されている。
ただ、ペアレンタルコントロール技術やセキュリティソフトなど、ネットワーク管理目的から同規定の適用が除外されるものもある。
また全てのISPは、ブロードバンドアクセスサービスを提供する際に、例えば、電話の購入やケーブルサービスへの加入を要求することなく、ブロードバンドサービス単独で提供することが義務付けられる。
法案の最新版は、22日の午後に最初の委員会採決にかけられる予定だ。しかし同法案に対しては、ネットワークの中立性の支持者らが最も重視している問題への対処を避けている、との批判がなされている。その問題とは、ネットワーク事業者は、自社のネットワークを通じて提供されている全てのコンテンツを平等に扱うべき、とする考え方だ。
ネットの中立性に関する規定の創設を支持するIt's Our Net Coalitionと呼ばれるグループは19日に発表した声明の中で次のように述べている。「(今回の新法案の下では)インターネットは結局、レクサス用の高速レーンと未舗装の砂利道に二分されることになる。またFCCにも、米国の消費者を保護するための力が与えられていない」。同グループは、主にAmazon.com、eBay、Google、Microsoft、Yahooといったハイテク企業の支持を受けており、他にもキリスト教徒連合(Christian Coalition)、研究図書館協会(Association of Research Libraries:ARL)、米国消費者連合(Consumer Federation of America:CFA)などの組織や団体が参加している。
同団体は、上院の法案よりもむしろ、Olympia Snowe上院議員 (共和党、メイン州選出) やByron Dorgan上院議員 (民主党、ノースダコタ州選出)、その他7人の民主党議員が提出した法案が可決されることを望んでいる。その法案では、ネットワーク事業者が、コンテンツプロバイダと契約を結び、高速配信などの特別待遇の見返りに特別料金を徴収することを固く禁じている。同法案を提出した議員らは、そのような状況を非難の意味を込めて「二重構造化した」インターネットと呼んでいる。
22日の午後に予定されている委員会の採決では、上院法案の修正案として、Snowe議員らの法案が何らかの形で提出されると見られる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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