間もなく米国最大の電話会社となる新生AT&Tは、合併の承認を得るために、ネット中立性に関わる複数の約束事を受け入れた。しかし、米国議会は1月中にも、より広範囲な規定を設けるために動き出す可能性がある。
AT&Tは約860億ドルを投じてBellSouthを買収する計画を立てていたが、米連邦通信委員会(FCC)の委員4人による投票がこう着状態に陥り、何カ月間も合併承認を得られずにいた。しかしAT&Tは先週の土壇場で、状況を打破すべく、GoogleやeBayなどのインターネット企業や消費者擁護団体が支持するネット中立性の規則を守ることを約束した。
議員らは現在、AT&Tなどのネットワーク事業者が追加料金でコンテンツプロバイダーのウェブトラフィックを優遇することを禁じる法案を最提出しようと準備を進めている。FCCの委員数名は、AT&Tとの約束事が公的な拘束力をもっていないことを主張しているが、このたびの約束がこうした法案の青写真になる可能性がある。
擁護団体Free PressのポリシーディレクターBen Scott氏は「今回の合意により、ネット中立性を規定することはできないといういい加減な主張もなくなるだろうと述べる。Free Pressは、ネット中立性を支持する団体Save the Internetをコーディネートしている。
ネット中立性とは、AT&TやVerizonなどのネットワーク事業者に対し、特定のコンテンツやサービスを厚遇することを禁じる規則を課そうという考え方。ネットワーク事業者によりこのような優遇行為が唱えられるようになって以来、インターネット企業や消費者団体は、(特定のコンテンツが優遇されれば)ユーザーの自由が脅かされるとして、優遇を禁じる規則を制定するよう声高に訴えてきた。一方、規則の制定に反対する側は、コンテンツを優遇したりすることで何らかの問題が発生する証拠はなく、規則が制定されれば革新が妨げられるとしている。
AT&Tは、合併完了から30カ月間、自社の回線を通る「特定のパケットを(情報の)供給元、所有者、送信先などの情報に基づいて、特権付きにしたり、冷遇したり優遇したりするいかなるサービスも」提供、販売しないと述べている。
この内容について、Ron Wyden上院議員(オレゴン州選出、民主党)は米国時間1月2日、声明で「米国の消費者や小規模企業が、差別されることなく高度なネットワークを利用して便益を受けられるような、業界全体の規則のフレームワーク」を作るべきであることを意味していると述べている。
Wyden議員は2006年に、全米で初めてかつ恐らくは最も強くネットの中立性を求める法案を作成したが、同氏の側近によれば、2007年1月中にも同様の法案を再提出する意向だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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