ミクシィ株の下方トレンドが鮮明になっている。好内容の決算を発表したが、株価は売り先行となり、2月1日には1月16日に付けた目先安値を更新。足元の業績動向とは逆に、株価の先行きには不透明感が強まってきている。
1月30日に発表した今第3四半期(2007年4〜12月)決算は、非連結売上高が前年同期比2.1倍の72億3500億円、経常利益は同91%増の27億4200万円となった。通期計画の売上高92億円(前期比85%増)、経常利益32億円(同49%増)と比較した進ちょく率もそれぞれ78.6%、85.6%と高水準。増額修正ペースと言える。
会員数は2007年12月末時点で1297万人まで増加し、月間ページビュー数も118.4億(12月実績)。今第1四半期にパソコンを抜いて以来、モバイルのページビューが高成長を続けており、同実績ではパソコン50.3億に対し、モバイルは68.1億となっている。
10月にサイトデザインをリニューアルしたほか、11月にソーシャル・ネットワーキング・サービスの共通企画への賛同、12月には無料ゲームコンテンツの提供も開始した。広告単価も着実に上昇している。
一見、文句なしの好決算。株式市場は何を嫌気視しているのか。
ひとつは事前に通期業績計画の上方修正期待が高まっていた事。期待された上方修正が見送られたことに市場は失望したようだ。
ミクシィが決算を発表した1月30日の取引終了後は、ヤフーや「モバゲータウン」のディー・エヌ・エーも今3月期第3四半期決算を発表。1月18日に増額修正済みのディー・エヌ・エー、市場の予想を上回る実績を示したヤフーに比べ、ミクシィの決算は「サプライズがない」と取られてしまったようだ。
また、2月1日は海外からの逆風も吹いていた。前日の米国市場でグーグルが決算を嫌気される格好で大幅安となっていた。その流れを受け継いだ1日の東京市場では、ミクシィを中心としたインターネット株を手掛けづらい地合いとなっていたのだ。
ミクシィ株に対するアナリストの評価はまちまち。UBS証券は「地味な印象の決算」と断りながら、戦略的費用の積み増しなどは予想通りで、将来の成長に向けた準備が着実に進んでいると指摘する。
一方で日興シティ証券はネガティブな評価。会員数の伸び鈍化とパソコンのページビュー数下落が想定以上だコメントしている。
株価は2007年11月、12月に2度、210万円の株式分割後高値を付けている。株価チャート上では、その高値がダブルトップと呼ばれる典型的な天井パターン。今回の下落で下方トレンドは更に明確になっている。今後、株価は反発局面があったとしても、戻り売り圧力が強まりそうだ。
ただ、インターネットセクターは為替など海外からの影響を受けにくい内需株。しかも内需でありながら国内の景気動向とも連動性が低い。海外、国内双方の景気動向に懸念が強まっている現在の株式市場に唯一マッチしたセクターだと指摘する市場関係者も多い。
ミクシィは勝ち組ネットメディアの筆頭。米マイクロソフトによる米ヤフーへの買収提案というニュースを受け、ミクシィを筆頭とする日本のネット系銘柄にも「買収価値」という新しい切り口が改めて認識されている。ここで下押した局面では中期的な投資妙味が膨らみそうだ。
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