You Tubeハングルサービス開始--韓国UCC市場の刺激になるか - (page 2)

You Tube進出が刺激になるか

 そんな韓国市場に大きな変化があらわれそうだ。ハングル版You Tubeのオープンだ。You Tubeは以前から韓国でも知名度があったので、ハングル化を望む声も少なくなかった。

 ハングルサービス提供にあたりYou Tubeは、韓国の動画ポータルのほか、放送コンテンツ提供企業や芸能プロダクションなどと提携している。提携先から提供される動画を検索したり共有したりできるようにして、韓国ユーザーが受け入れやすい環境作りをしようとする姿勢が見える。

 ただしそれ以外は「Google同様、単にメニューをハングル翻訳したに過ぎない(地域特化サービスがない)」と言う声もある。たしかにGoogleも韓国に本格進出したものの、最近まで韓国に特化したサービスはほとんどなかった。1月末からは検索結果のページに、韓国でよく見られている、検索語と関連したブログやニュースの検索結果も表示されるようになったが、同様の検索手法ならNaverなどに見劣りする感がある。

 韓国でGoogleが使われない原因は地域特化型のサービスでないことのほかに、親しみを感じさせないUIにあるのではないだろうか。韓国のポータルサイトを見ると分かる通り、あらゆるコンテンツや情報がトップページに詰め込まれ、動きありイラストあり、色とりどりで大変にぎやかだ。逆にGoogleはとてもシンプル。検索結果にしても、ウェブサイトやブログ、ディレクトリ検索の結果がカテゴリ別に整理されまとめて表示される韓国サイトと異なり、Googleは結果を羅列している感も受ける。それぞれのスタイルの違いではあるとはいえ、外国サイトのこうしたシンプルさは、盛りだくさん型のウェブサイトに慣れた韓国ユーザーに不慣れな印象を与えるのかもしれない。

 韓国のインターネット業界で働く女性は「Naverは検索結果がカテゴリ分けされて出るので、いろんな角度の情報を俯瞰できる。Googleはある程度インターネットに慣れた人が、1つのテーマを深く探りたい時に便利かもしれないが難しい印象。やはりNaverの方が使い手の裾野を広げやすいのでは」と述べている。

 You Tubeも同様に、韓国のウェブサイトよりシンプルな印象を受ける。しかしもともとYou Tubeは世界から寄せられた多種多様な動画を楽しめるのが魅力の1つ。コンテンツが母国語でなくても、あえてこれを利用するユーザーもいる。コンテンツの豊富さは自他共に認めるものであるからこそ、ユーザーとの接点となるUIを改善することは、韓国でより人気となるための鍵になるのではないか。

 You Tubeは「現在、各国ごとに合った製品(サービス)の準備に最優先で取り組んでいる」と述べている。それにUIの問題が含まれているかは明らかではない。しかし、韓国ユーザーの感性に響くような構造にしなければ、今のGoogleと同じ道をたどる可能性もある。

 政府自らが1つの産業として取り組み、動画そのものだけでなく市場全体の質、量の底上げを狙う韓国で、You Tubeの進出が良い刺激になれば、韓国にとってもこれほど好ましいことはないだろう。しかしそのためにはYou Tube自体が韓国に合わせて、大胆に変わる勇気も必要となりそうだ。

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