セマンティック技術やそれらを活用したプロダクト、サービスに関するコンサルティングを手がけるProject10Xは、「Semantic Wave 2008:Industry Roadmap to Web 3.0 Multibillion Dollar Market Opportunities(セマンティックの波2008:数十億ドル規模の市場機会)」と題した、セマンティック技術とその市場への影響に関する400ページからなる調査レポートを発表した。このレポートは消費者向けのセマンティック技術と企業アプリケーションの登場、そしてウェブ2.0からいわゆる「ウェブ3.0」への進化について扱っている。
Project10Xのレポートが27ページにまとめられた概要ドキュメントを無料で入手できる。名前と電子メールアドレスを記入し、いくつかの簡単な質問に答える必要があるが、この概要レポートはそれだけの価値があるものだ。
このレポートでは、ウェブ3.0を「意味を表現し、知識をつなぎ、それらをインターネットをより自分にとって意味の深い、便利で楽しいものにするために使うこと」だと定義している。つまりセマンティックウェブそのものだ。わたしは「ウェブ3.0」という言い方はあまり好きではないが、セマンティック技術が現在のソーシャルウェブの時代を強化し、広げてゆく時代に入ったということには同意する。これについてはReadWriteWebで何度も書いてきた。例えばAlex Iskoldが最近書いた「セマンティックウェブ:ユーザー層での普及の起爆剤となるキラーアプリケーションは?」という記事を読んでほしい。
また、このレポートでは「ウェブ4.0」を次のように定義している。「ウェブ4.0はその後にくる。ウェブ4.0はユビキタスウェブ環境の中でインテリジェンスをつなぐ。そこでは人間とその他のものがそれぞれ明確な意思を持って互いに通信する」。次の図は、これらのウェブのバージョンをつなぐ概念をうまく表している。
このレポートは、セマンティックアプリケーションの新しい時代は伝統的なW3C技術に限られたものではないことを正しく指摘している。ここでは、「ウェブ3.0はプラットフォームとして現在のウェブ上で適用できるすべてのセマンティック技術とオープン標準を包含するものだ。これは、現在のセマンティックウェブ標準に限られたものではない。」と述べられている。
このレポートでは、このセマンティックウェブで期待される成果の種類について有益な議論が行われている。例えば、ウェブブラウザについて「ウェブ3.0のブラウザはデータのセマンティクスを理解し、情報を媒介し、メタデータを自動的に翻訳する」としている。われわれは以前このブログで、Firefox 3がマイクロフォーマットやその他の技術を使うことで情報ブローカーとして動作する仕組みを議論している。
また、このレポートはいくつかの興味深いトレンドも概説している。例えば、アイデンティティに関して「流れはセマンティックアバターに向かっており、個人がネットのあらゆる場所で自分の個人情報を運用し、管理することが可能となる」と述べている。
もう1つの興味深い流れは「集合的ナレッジシステム」で、ここではユーザーが「コンテンツ、セマンティクス、モデル、振る舞いを加えるために協力し合い、システムは学習して使いやすくなっていく」という。これを読むと、わたしはTwineとFreebaseの2つのアプリケーションが思い浮かべる。詳細についてはReadWriteWebの記事「勃興期にあるセマンティックウェブ、注目の10アプリケーションの現在」を参照してほしい。
今回取り上げたレポートの概要版は、これらの話題に関するすばらしい入門資料となっているので、読んでみてほしい。これをわれわれに送ってくれた、Project10Xの創始者兼マネージングディレクターのMills Davis氏に感謝する。レポートの全文版(販売されている)の中心は14の業種での150のケーススタディで、現在勃興期にあるセマンティックウェブの包括的調査となっている。
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