昨年11月に欧州上陸を果たした米Appleの「iPhone」、発売から2カ月を過ぎたところで3カ国の販売台数が明らかになった。--これまでのところ、欧州でのiPhoneは米国ほどの爆発的ヒットを収めていない、そう言わざるを得ないようだ。
まずは3カ国の数字を見てみよう。最初に、最も期待されていた英国から。11月9日に発売されて以来、8週間の販売台数は19万台。英国でiPhoneを展開する英O2ではローンチ当初、目標台数を20万台としていたことから、目標達成ならずとなった。
次に英国と同じ日にローンチしたドイツ。同国のパートナー独T-Mobileは1月26日、発売後11週間の販売台数を7万台とした。
最後に発売日が遅れたフランス。オペレータと契約せずにiPhoneを入手できる市場だ。仏Orangeは7週間の販売台数を7万台と発表。これは、同社がローンチ時に発表していた目標台数と同じとなる。つまり、3カ国のうち目標に達したのはフランスのみということになる。
各国の販売台数を週平均してみると、英国が最も多く2万3700台、ドイツが6300台、フランスが1万台となる。米国では、最初の2カ月半の間、週平均10万台ピッチで売れていたのだから、(市場規模を考慮しても)ちょっと寂しい。しかも、携帯電話が最もよく売れる年末ショッピングシーズンが含まれているのだ。
特にドイツの販売台数が目立って少ない。ドイツは人口も多く、欧州最大の経済力を誇る国だ。Appleが組んだT-Mobileは同国最大手のオペレータでもあることから、ドイツの販売台数を報じたメディアの中には、「がっかりさせる数値」とする記事もあった。ドイツでは、このコラムでも紹介したように、発売後すぐにSIMロックが問題となったため、T-Mobileは急遽、SIMロックを解除した機種(それも999ユーロ)を提供するなどトラブルがあった。これも原因と思われるが、それでももう少しいったのでは、と見る向きが目立つ。
欧州でiPhoneが米国ほどヒットしていない理由はなにか?価格とスペックの2つだと思われる。スペックでは、iPhoneは3G対応していないし、カメラのメガピクセル数が2メガでは弱い。タッチスクリーンもすでにある。フィンランドNokiaや英Sony Ericssonなどのブランド力のある携帯電話が契約付きで安く手に入る中、そのような携帯電話にいくら払う気になるか?
iPhoneはこちらでは、契約付きでも5〜6万円の値をつけている。SIMロックが合法である英国では、2年の契約が必要なので初期投資が最低でもざっと21万円になる。Appleというブランドをもってしても、この価格を払うのはどうだろうか?というのがこちらの消費者の反応なのかもしれない。もちろん、iPhoneの最大の魅力はスペックではなく、ユーザーエクスペリエンスだと思うが。なお、O2は1月29日、iPhone向けの料金プランを値下げしている。
と、ここまでまじめに書いたところで、個人的には国民性みたいなものが大きいような気がする。新しいもの好き、ガジェット好き、見せびらかすのが大好き、加えておしゃべり好きといわれるイタリアだったら、もっとヒットしたかも、というのが独断と偏見に満ちた私の意見だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス