ワシントン発--Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏は米国時間1月17日、米航空宇宙局(NASA)はGoogleから学べることがいくつかあると提言した。
NASAが2008年の創立50周年を祝う昼食会で、Schmidt氏はGoogleが同社の製品で達成しようとしていることをNASAも見習うように推奨した。つまり、クローズドではなくてオープンな協調システムを構築すること(ここでクローズドなシステムとはミッションごとに異なる宇宙船を建造してきたNASAの伝統を指している)。他者もシステム構築に参加できるシンプルなプラットフォームを作成すること。そして、それを実際に実行に移すときには、宇宙船どうしが通信できるようにしたらいいのではないか、と。
「宇宙船にもインターネットを搭載するべきだというのは明白ではないか」とSchmidt氏は約100人のNASA関係者、外注業者、米連邦議会スタッフからなる聴衆を前に問いを投げかけた。そのときSchmidt氏の背後には、床から天井までそびえ立つガラスパネルごしに国会議事堂が雪景色に埋もれてかろうじて見えていた。
よろしい、場合によっては「オープン」なインターネットでなくてもかまわないとSchmidt氏は譲歩した。宇宙船がハックされて軌道を外れて遠くに飛んでいってしまったら困るだろう。
約40分にわたって聴衆を魅惑したスピーチの内容は、Googleに関する自慢話にとどまらなかった。Schmidt氏は自身を「NASAの強力な支持者」であると言い、多くの時間をフラットパネルスクリーンによる発表に費やしながら、Googleがいかに同社の製品でNASAに依存しているか(例えば「Google Earth」のユーザーが月面のNeil Armstrong船長の足跡を拡大して見たり、遠くの夜空を探訪したりすることができるなど)を説明した。
Schmidt氏は、Googleが公言しているミッションステートメントをNASAがまねするのは可能ではないないかもしれないと述べた。結局、NASAは離陸などで時間の制限と常に戦わなければならない。そしてSchmidt氏が述べているように、惑星間インターネットによって「宇宙空間の通信網」を拡大することができるのだろうか。惑星間インターネットの実現に取り組んでいる研究チームは、自身の課題に直面している。しかし希望を失ってはならないとSchmidt氏は言う。
「GoogleとNASAには多くの類似点がある」とSchmidt氏は断言した。「それはいずれも楽観主義が中心となっている点だ」(Schmidt氏)
言うまでもなく、Google自身もすべてについてオープンなわけではない。キャンパスへの訪問者を制限しており、訪問者は認識票を印刷するときに守秘義務契約を承諾するように要求される。また、すべてのソースコードが誰でも見られるように開放されているわけはなく、ページのランク付け技術もオープン化されていない。
溶けかかった雪に覆われた米国の首都へのSchmidt氏の1日限りの訪問には、連邦政府機関の副長官で構成されている米大統領府行政管理評議会とプライベートに会合する目的も含まれている。Googleのある関係者は、この会合の内容は「多岐に及ぶもの」になるだろうと述べている。Schmidt氏はまた、ワシントンD.Cに建てられたGoogleの新しい社屋のオープニングを祝う17日夜の歓迎会にも出席する予定になっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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