ケーブルニュースに出演する専門家たちは、今後の米国の不況を予測しているようだ。しかし、IBMとIntelの2008年の業績見通しを見る限り、ハイテク業界が今すぐに、現在経営難に陥っている銀行業界の二の舞を踏むことはなさそうだ。
Intelは米国時間1月15日、2期連続で過去最高となる第4四半期決算を発表した。数値は同社の予想をかろうじて達成するにとどまった。
Intelの発表によると、売り上げは第4四半期としては過去最高の107億ドル、1株あたりの利益は38セントだった。同社は今期の売り上げを105〜111億ドルと見込んでいた。アナリスト予想では、売り上げが108億ドル、1株あたりの利益は38〜44セントの間となっていた。
前年同期と比較して、売り上げは10.5%の伸びを記録したが、第3四半期の決算がアナリストたちの予想を大幅に上回る過去最高を記録したことを受けて、期待感が膨らんでいた。Intelの株価は、同日の時間外取引にて14%下落した。
しかし、これを悲観するのはまだ早い。Intelでは、コンピュータ関連製品は売上目標を達成したものの、NANDメモリでは予想を下回り、マイクロプロセッサユニットの販売個数は過去最高を記録したが、第4四半期を通して平均販売価格は横ばいだったとしている。たしかに朗報とはいえないが、同社の最高経営責任者(CEO)のPaul Otellini氏が、ドットコム不況時に見られたようなひどい煙幕を張らない限り、Intelが不安を抱かせるほどのハイテク業界崩壊のような苦境に陥っていることはない。
Intelの最高財務責任者(CFO)Stacy Smith氏は、「大変好調だった第3四半期に続き、第4四半期のコンピューティング関連製品の売り上げは予想通り増加した」と述べ、さらに「(予想レンジの)中間点にわずかに届かなかった原因は、需要や価格設定の環境がわれわれの予想以上に悪かったためだ」と付け加えた。Smith氏によると、第4四半期には特に同社のCPU事業に対する需要が引き続き伸びたという。また同社は、想定外の注文の取消や在庫の増加もなかったとしている。「誰もが好調を感じた」(Smith氏)
米国経済の脆弱性が懸念されているが、恐らく、ハイテク企業はさほど憂慮する必要はないだろう。というのは、最近ハイテク企業の成功に対する米国の寄与度が低下しているからだ。Otellini氏も次のように述べている。「Intelは売り上げの75%を米国以外で上げている。売り上げの増加分の大半は米国以外の国々からのものだ」
市場調査会社Mercury ResearchのアナリストDean McCarron氏も、「多少の景気低迷くらいでは、全体的な予測の大幅な変更にはつながらない」とし、さらに「影響は、10年前に比べるとはるかに小さい」と付け加えた。
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