そのほかにもブラウザ上で利用できるはてなの仮想世界サービス「はてなワールド」ベータ版などもある。はてなワールドでは紙のように薄いアバターを操作してコミュニケーションを楽しむ事ができるほか、会話ログの保存や公開ができる。ブラウザ上で利用できるこのサービスは、グループチャットの要素が強いものとなっている。
ネットサービスではなく、家庭用ゲーム機で仮想世界サービスを提供する企業がある。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が2008年春の公開を予定する「Home」だ。
同社のコンセプトはほかの仮想世界サービスとは大きく異なる点がある。それは仮想世界の中で「暮らして欲しい」という意識を持っていないところだ。
同社が仮想世界サービスを提供することで、メインビジネスであるゲームの購買が落ちてしまっては当然意味がない。同社が考えるのは「ゲームとゲームを結ぶためのプラットフォーム」としての仮想世界サービスなのだ。Second Lifeやほかの仮想世界サービスがライバルなのではなく、Xbox LIVEやWiiの通信機能がライバルなのだ。もちろん、アバターが所有する衣装などに対する課金や仮想世界内での動画配信や広告配信など、他社サービスと同様のビジネスも手がける予定だ。
Homeの最大の特徴は、サービス上でほかのアプリケーションを立ち上げる事ができるということだ。たとえば、Home上で新作ゲームの体験版を提供するといったことも実現できるほか、将来的には、たとえばサッカーが好きなユーザーが集まる場で知り合ったユーザー同士がHome経由でサッカーゲームの対戦をするといったことも技術的には可能になるという。
ただし、そういった外部サービスとの連携では、Home内とゲームソフトなどの外部サービスの両方に連携の仕組みを組み込まなければならない。同社ではHome向けの開発ツールについてサーパーティーに提供していくが、開発には多少の時間が必要だという。
各社とも、それぞれ特徴あるサービスを提供していく予定ではあるが、各社ともに最も難しいと考えるのは新たなビジネスモデルの構築である。広告や有料課金といった既存のネットビジネス以外に新しい収益の手段が見いだせていないというのが現状である。
「今インターネット上にあるビジネスはすべて仮想世界版動画広告や仮想世界版バナーをはじめ、仮想世界版○○と言った名前がついてビジネス化されることになるだろう。しかし新しいビジネスモデルについてはまだ誰も見つけられていない」と語る業界関係者もいる。まったく新しいビジネスモデルを生みだすことがなければ大きな成功につながらないという危機感はプレーヤーの共通認識でもあるようだ。
また、Second Lifeではすでに実現しているドルからリンデンドルへの相互換金だが、国内では「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」や「前払式証票の規制等に関する法律(プリカ法)」などに抵触するという見解もあるため、仮想通貨の現金化サービスをすぐに始めることは難しい。これには前述した国による法制度の改革も必要になる。
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