12月6日、東京証券取引所でセミナー「大学発ベンチャーの成長とIPO実現に向けて」が開催された。かねてより大学発ベンチャーのIPOモデルの構築に向けて共同研究を行ってきた東京大学産学連携本部と東京証券取引所が主催したセミナーだ。
講演は二部構成となっていて、第一部では「イノベーションと大学の役割」というテーマで、スタンフォード大学名誉シニアフェローである一橋大学名誉教授の今井賢一氏が、いかに大学発の技術が社会に変革をもたらしうるかについて、アメリカの大学の実例などを挙げながら講演した。
続いて、「IPOに向けた大学発ベンチャーの可能性と課題」と題された第二部では、日本における大学発ベンチャーならではの可能性と課題が議論された。
第二部のパネリストは、大和総研参与新規産業調査本部本部長の鈴江栄二氏、東京大学エッジキャピタル代表取締役社長の郷治友孝氏、監査法人トーマツ代表社員の北地達明氏、野村証券公開引受部長の石井巨道氏の4人。モデレータは東京大学産学連携本部事業化推進部長の各務茂夫教授と株式会社東京証券取引所上場部上場推進室新規上場サポート担当統括課長の谷内雅史氏の2人が務めた。
各パネリストの自己紹介のあと、モデレータである各務氏と谷内氏によって、東京大学と東証による共同研究の進捗報告があった。とりわけ、2007年6月にマザーズ上場の手引きQ&Aに「大学発ベンチャーについて」が新設され、?上場時に知的財産権の専用実施権を得ていれば譲渡されていなくても問題にはならない?研究者がベンチャーの役員を兼務するにあたっての注意事項?株式等の売却換金に関わる手続き――の3項目が明記された(ただし項目?は、2008年1月に追加予定)。
このQ&Aの設置に対して、各パネラーは、それぞれの立場から意見を述べた。
まず石井氏は、引き受け証券会社の立場から、「上場準備をしている会社にお願いしたいのは、マニュアルが絶対視しすぎないようにしてほしい。上場審査の基準があるが、なぜそういったものが求められているのかを考え、その原理原則に立ち返るべき」と述べた。
また、北地氏は公認会計士の立場から、「有価証券届出書」の書き方について、「大学のプロトコルが分かっていないと混乱するだろうなと思うことが多い。海外の投資家はなおさらです」と分かりづらい届出書が多いことを指摘した。
一方、鈴江氏は「これで大学から特許の譲渡を受けられずIPOできないという悲劇が回避された。大学ベンチャーを特別扱いすべきではないが、制度的な問題点を改善するのは重要」とQ&Aの新設を評価した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
すべての業務を革新する
NPUを搭載したレノボAIパソコンの実力
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
先端分野に挑み続けるセックが語る
チャレンジする企業風土と人材のつくり方
日本のインターステラテクノロジズが挑む
「世界初」の衛星通信ビジネス
NTT Comのオープンイノベーション
「ExTorch」5年間の軌跡