大学発ベンチャーがIPOするためには--東大と東証がセミナー開催 - (page 2)

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 続いて、会社設立時とIPO時の諸問題に議題は移り、北地氏が、「研究のすべてがIPOを前提としたベンチャーに適しているわけではない。研究をシードに載せるかどうか、それを検討する人材が学内にもっとほしい」と要望すると、郷治氏は、「会社設立前にどれだけ準備できるのかが大切。ただし、あまりにも早く研究室の延長で会社をつくると、助手を社長にしてしまったり、いろいろな困難が生じる可能性が高い」と性急な起業に警鐘をならした。

 これには石井氏も、「技術を供給された先生が、取締役の役員にもなっていないのに最終的な意志決定者になっていることが多い。その人の許可がなくては事業計画も立てられないケースもある。市場ではキャッシュフローが投資家の関心になる。その先生が学会でどれだけ偉いかは市場には関係ないのでメンタリティの転換が非常に重要だ」と、研究室の人間関係が起業後も継続することについてその危険性を指摘した。

 最後の議題は、経営ノウハウを身につけている人材が大学発ベンチャーに不足している点について。

 郷地氏は、「研究室型ベンチャーの場合は、経営のプロをトップに招くことになる。しかし、情熱を持っている人を連れてこなくてはいけない。そのためには信頼できるネットワークを維持し続けることが重要」と、経営トップは、人材派遣会社に頼らず起業に情熱を持ってコミットメントできる人材を確保すべきだとした。

 石井氏も同じく「上場を目指す会社は、上場が自己目的化しがち。本来は会社を運営するためにどういう人材が必要かを考えて組織化すべき」と述べた。

 最後に各務氏が、「起業時に、教員がベンチャー起業の役職を兼ねて技術的なノウハウを伝えるのは、技術的なのりしろとなるが、マーケットの論理を受け止めることはなかなかできない。起業後、マーケットの論理に従ってどう鍛えられるかが重要」とした。

 また同氏によると、国立大学は、ベンチャー企業の経営にキャッシュアウトして参加することはできず、また大学の教員がベンチャーに関わるといっても教員が本業であるため、利益相反に加えて責務相反の問題が生じる。そのため国立大学の教員がベンチャーで代表権をもつようなケースは、ルール上、なかなかできないそうだ。

 客席には、上場を目指している大学発ベンチャー関係者も数多く来場していた模様だ。また、バイオベンチャーの話を例に取り上げることも多く、パネリストが聴衆に向けてレクチャーしている雰囲気も漂っていた。数年前から熱視線を市場から送られてきたバイオ関連ベンチャーのIPOがいよいよ近づきつつあることが図らずもうかがえたセミナーだった。

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