Larry Ellison氏が株式の多くを保有するオンデマンドアプリケーション企業であるNetSuiteが、投資家を納得させるストーリーを携えて、新規株式公開(IPO)の準備を進めている。同社は米国時間12月5日、売出価格の範囲を設定し、最高9920万ドルを調達することを期待していると述べた。
NetSuiteが米証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、同社は新規株式公開(IPO)で売出しを計画している620万株について売出価格の範囲を1株あたり13〜16ドルに設定したという。
株式は「N」というティッカーシンボルで、ニューヨーク証券取引所にて取引される予定である。
NetSuiteのIPOは現在12月21日に計画されているが、The Wall Street Journalは観測筋の情報を引用し、投資家の関心が高ければ公開日が早まる可能性もあると報じている。
投資家は2007年、技術関連株に注目しており、たとえばVMwareは初日の取引で売出価格の1株29ドルから上昇し、1株55.50ドルを付けた。米国外に目を転じると、BtoBサイトのAlibabaは香港市場で初日に株価が3倍になった。
しかし、NetSuiteの場合は7月の申請時に、公開計画に何らかの動揺に出くわした可能性がある。Ellison氏が率いるTako Ventures(Lawrence Investmentsの完全所有子会社)と親族がNetSuiteの74%の株式を保有している。かつてNetSuiteは株式公開後もTakoが同社の経営権を保有すると表明していた。これはつまり、Ellison氏(Oracleの最高経営責任者)は、投資家や経営陣がNetSuiteの買収を望んだとしてもそれを拒否することができた可能性があるということだ。
しかしNetSuiteはこれらの計画を10月に変更し、後からSECに提出した書類では、Ellison氏がTakoの株式を株主権が行使できない「金庫株」に移転する計画だとしている。この場合、Ellison氏はNetSuiteに対する直接の経営権を保持できなくなる。Takoによる株式保有比率は9月に終了する四半期の期末で60%だった。
提出書類でNetSuiteは次のように記している。「当社は、Ellison氏がOracleにおける自身の地位と職務を考慮して保有株式を金庫株に移転すると聞いている。その結果、事実上、当社の取締役の選出やその他の案件に対するEllison氏による議決権の支配が排除され、そうしないと発生する可能性があった潜在的な将来の利害の対立も回避されることになる」
Ellison氏はNetSuiteの経営権を失うかも知れないが、その損失はIPOで得られる巨額の金銭によって埋め合わされる可能性が高い。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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