logo

情報感度とプロデュース力が決め手--ジェイマジック成長の裏側 - (page 2)

別井貴志(編集部)2007年12月04日 10時00分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 こうした考えの中で、実際に宮田氏は人材を採用する面接のときに「最近使っているモバイルサイトは?」「最近気に入っている、注目しているインターネットサービスは?」ということを聞く。それは、「情報感度」や「プロデュース力」を見るためで、非常に重視している点だ。最先端の技術やサービスを知っているかどうか、どのようにしたらもっとイノベーションが生まれるかどうかをチェックする。

 また、チャレンジ精神や成長意欲も確かめる。宮田氏は「ベンチャーというのは企業としてある程度の期間は赤字なんだというリスクがあるが、実際の仕事はマルチタスクで進むので、たとえば顔ちぇきだけをやっている人はいない。他の仕事も同時にやることを楽しめるかどうかは重要で、こうしたことをノイズとして捉えてしまう人や、1つに集中してやりたいという人は難しく、柔軟に動けるマインドを持っているかどうかもポイントだ」とした。

 今後の事業計画としては、12カ月先までは現在ある事業の勢いを継続させるべく手を打っていくことで、そのための人員計画は月間2名ずつぐらいの同じペースで採用していく予定だ。これでいけば24名なので、12カ月後には約40名の規模となる。

 企業やサービスに魅力を感じてもらえるかどうかは当然だが、宮田氏は人員計画が比較的うまく進んだポイントのひとつとして、人事制度や給与制度などを専門家と相談しながら早期に着手できたことを挙げた。まだ社員が4名程度の2007年春ぐらいに策定していたのだ。社員は半期に一度目標を設定し、その目標をどれだけ達成したかを評価し、特別賞与が与えられるが、2007年12月にはこれを初めて実行する。このほかにも、福利厚生としては毎月一定金額を社員が支払うとその額よりも多い金額を利用できるカフェテリアプランなども導入している。宮田氏は「こうした面はベンチャーにしてはきちんとやろうと考えていた」と説明した。

 このように宮田氏が考えるベースになっているのが、「いかに社員が楽しいか」「ワークバランスを意識する」という2点の想いだ。宮田氏は「自分のほしい、好きなもの、サービスを作るという半面で、そのために仕事でぼろぼろになったり、家族と別れたりするのはすごく哀しいので、そのバランスをうまくとってみんながハッピーになることが会社の方向性だ」と語った。そのためか、有給も他の企業よりも比較的多く、宮田氏自身も年末には10連休をとった。

 ほかにも、宮田氏は一体感の醸成にも努め、その具体的なことが全社合宿で、いまは月に一度ぐらい行っている。そうはいっても、ペアプログラミングで何か開発して成果を出すわけではなく、どちらかというと企画千本ノックといった企画開発会議だ。大量のメールに追われることのない都心から離れた場所で、ブレストなどを行い、翌日はフットサルなどを楽しむ。宮田氏は「フローで仕事をする量が多いので、非常にベタなことですが1つ1つ腰を据えて考える機会は非常に有意義で、心のわだかまりも解消される」と評価する。これとは別に、毎月新入社員が入ってくることもあって、月一度の飲み会もかかさない。

 こうしたうえで、宮田氏は「一番望ましいのは会社も成長しつつ、1人1人が成長していくこと。まさに今の社員は営業も経営も経験するし、横でベンチャーファイナンスのことも見ているわけで、起業できるぐらいのスキルセットや情報、ネットワークが結構できるでしょう。そういう意味で言うと、その人たちが1人のプロとして会社をつくってもいいし、どこかの会社に行ってもいいし、個として輝けるようなキャリアアップをしてほしい。極端な話をすると5年後に自分で会社をつくるぐらいな気持ちでやってねという感じでは言っているし、みんな割とそういうことを考えている人が多いような気がする」と期待を込めた。

ソリューション事業部 セールスマネージャーの生駒聡氏 ソリューション事業部 セールスマネージャーの生駒聡氏

 この一方で、実際に働いている人はどう見ているのだろう。2006年9月に入社したソリューション事業部 セールスマネージャーの生駒聡氏は、「モバイルの世界は歴史がすごく浅いし、その中でキラーアプリは何だ、キラーサービスなのか、キラーモバイルなのかを目指す中で、今まで世の中にない新しいものを、自分で意見を通しつつ追い求められるというところが非常に魅力だった」というのが動機だ。生駒氏は、営業だが、まさにアライアンスなどビジネスデベロップメント的な仕事を日々している。CEATEC JAPAN 2007のNTTドコモブースと三菱電機ブースでお披露目されたウェルネス携帯電話の試作機では、プロジェクトマネージャーを務めた。

 生駒氏は「僕が参加した時はベンチャーがゼロ歳は過ぎていたと思うのですが、すごく若いころからどう成長していくのかを、いい思いもつらい思いも一緒にすごすのは勉強になって、行く行くはみずから起業というのは方向性としてはすごくありながら、それは次の夢というところ」とした。

マジックラボ 技術コンサルタントの皆川卓也氏 マジックラボ 技術コンサルタントの皆川卓也氏

 もう1人、マジックラボ 技術コンサルタントの皆川卓也氏は立場が少し異なる。「月曜日と金曜日が大学で、火曜日から木曜日までは会社というふうに決めている」と2つの顔を持つ。半分は大学院生として博士課程で画像認識の研究をしていて、半分は同社ラボとして最先端技術をいろいろなビジネスに変えるハブとしての役割を果たしている。

 皆川氏は「画像認識はかなりアカデミックなにおいが残っている分野でもあるので、最先端をやりたかったら大学なのかなというのもある。でも、僕は経営はしたくないので、自分の興味ある技術を思う存分やらせてくれる環境があるならどこでも行きますという感じですね」と、2つの顔を持つ理由を述べた。

 そして、「まず技術者としてきちんと土台をつくって、いろいろなところから一目置かれるぐらいにはなっておきたいと思っています。その上で、今自分が持っている画像認識のその先にあるパターン認識みたいなものを、ネットのいろいろなセンサーの中に使っていく、どういう意味かを抽出していく、そういう世界まで踏み込んでいきたいと思っています」と夢を語った。

-PR-企画特集