情報感度とプロデュース力が決め手--ジェイマジック成長の裏側

別井貴志(編集部)2007年12月04日 10時00分

 携帯電話のカメラで撮影した人の写真をアップロードすると、どの有名人に似ているかを判定するサービス「顔ちぇき 〜誰に似てる?〜」は、2007年に大きくブレイクしたネットサービスの1つといえよう。

 このサービスを手がけているジェイマジックは、モバイルインターネットの世界で「マジック」のようなサービスを生み出していくために2005年10月に設立されたベンチャー企業だ。「モバイル」や「画像認識」などを核に事業を展開している。顔ちぇきがブレイクしたことをきっかけに、他の事業でのアライアンスも進み、急成長している。

 ビジネスとしては、メディア事業では顔ちぇきのほかにも、ケータイソーシャルメディアでケータイの写真エンターテインメントサイト「eyenowa」、グルメサイト「eyenowaグルメ」を手がける。

 また、ソリューション(OEM)事業では、画像認識技術を活用し、ポスターや雑誌などの紙広告物や、リアルな商品パッケージをケータイカメラで撮影するだけで、そのモバイルサイトへ誘導するセールス・プロモーション・プラットフォーム「PiXA」や、ケータイカメラを使った「画像による検索」など、検索の既成概念にとらわれずに利用者が見たままを直感的に検索できるプラットフォーム「SAYL」(Search As You Like)などを手がけている。

 こうしたサービスや、プラットフォームは、「マジックラボ」において日夜、研究開発が進められるている。

 ベンチャー企業が急成長している証しのひとつとして、社員数の拡大があろう。顔ちぇきをはじめた2007年4月時点での社員数は4名だったが、現在は18名と半年で14名も急増している。月間に2名のペースで増えているのだ。代表取締役兼CEOの宮田拓弥氏は「常に人員が足りないというのはベンチャー企業の常ではあるが、ずいぶんいい状況になっている」とした。

代表取締役兼CEOの宮田拓弥氏 代表取締役兼CEOの宮田拓弥氏

 18名の内訳は、開発が9人、営業が6人、管理が3人で、このほか派遣社員やインターン、アルバイトを含めると、総勢25名の人員になっている。実は、この人員増加はビジネスプラン通りに進んでいるのだが、顔ちぇきがブレイクして「認知されたために、特に開発系はうまく採用できた」(宮田氏)と言う。そうは言っても、この半年で届いた履歴書はゆうに100を超えており、宮田氏が面接した人数は実際に採用した人数の5、6倍はいる。実際に採用した14名のおよそ半数は知り合いを通じて紹介してもらった人で、あと半数が求人のエージェントを通じた人となっている。

 計画に沿ってうまくいっているとはいえ、採用されなかった人も多い。人材を採用する際のポイントは何か。たとえば、「実は営業系の人材はもう少しほしいのだが、求人広告などで『営業職』と出すと『自分の売りは気合いです』という人が応募してくる」と宮田氏は渋い顔をした。そして、「我々が求めている営業という職務はビジネスプロデューサー的な役割が兼務できる人」と続けた。

 特にまだ、世の中にない新製品や新サービスの場合は、それをいくらで提示するか価格が決められないことが多い。その場合、営業や販売部が売りに行くというよりは、価格が決まるまでビジネス開発部が他社とのアライアンスで収入を得るなどして展開しなければならず、同社もいまその段階にあるというのだ。このため、宮田氏は「どこかと提携することによってトラフィックが生じる、広告商品が生まれる、タイアップでビジネスになるなど、ビジネス開発の意識を持った営業ができる人材を求めているのだが、なかなかいない」と言う。

 この要求は、何も営業だけではない。宮田氏は、技術者にも「極端にいえば利用者の視点に立って『顔ちぇき』の画面の背景色はこうだろうと文句を出しつつ裏側の開発をするようなイメージで、こうした意識を持つことは大切だ」と、サービス視点をもった設計や開発を求める。

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