事業者からの抗議を受けて急遽公聴会が開かれるなど、周波数の割り当てをめぐって注目される2.5GHz帯。2社が免許を獲得する予定となっており、その有力候補と目されているのがKDDI陣営だ。
11月27日に開催されたmobidec 2007において、WiMAX ForumのBoard Memberも務めるKDDI 執行役員 技術渉外室長 沖中秀夫氏が講演し、第3世代携帯電話(3G)の補完サービスとしてのWiMAXのあり方を紹介した。
沖中氏は、市場動向として、(1)どこでも(移動)、(2)サクサク(高速、広帯域)、(3)いつでも(常時接続)、(4)気軽に(安価)という4つのニーズがあり、それに応える解の1つとしてWiMAXがあると説明。元々WiMAXは、大容量データを高速で安価に取り扱うことを前提に設計されており、携帯電話としての機能は考えられていない。このため沖中氏は、WiMAXは3Gの代替品ではなく、補完するサービスだと述べる。
デバイスとしては、データ通信を中心とするため、最初はパソコンやさらに小型のUMPCなどへの搭載が予想されている。その後はゲーム機などにも広がり、どんなデバイスを買ってもWiMAXに対応している世界を沖中氏は期待する。オープンなシステムを採用しており、世界的な大市場にだれでも参入できるようになる点も魅力の1つだ。
11月上旬の段階で、523社がWiMAX Forumのメンバーとして参加し、チップ製造企業が20社以上いる。メーカーが多数参加していることで競争が生まれ、安価なチップが提供されやすい環境となっている。
WiMAXの規格にはいくつか種類があるが、中でも注目されているのが、移動しながら通信できるモバイルWiMAXだ。特徴は、時速120kmの高速移動時でも最大数十Mbpsの通信が可能なこと。1アンテナあたりのエリアカバーも広く、Wi-Fiのような点ではなくケータイのように面でカバーできる。KDDIが2006年に実施したフィールドトライアルでは、CDMA 2000 1x EV-DOとのシームレスなハンドオーバーも確認されている。
仕様については、WiMAX ForumとIEEE802.16で国際標準化を推進。世界中どこでも使えるように実装仕様を決めたり、装置の認証などを手がけたりしている。日本国内では、WiMAX Forum日本オフィスが設置され、各方面に働きかけている。
モバイルWiMAXに割り当てられる予定の2.5GHz帯は北米や欧州の一部と同じ周波数帯のため、日本国内の機器をそのまま海外に持っていっても利用できる強みがある。
WiMAXは、すでに世界65カ国、250以上の事業者が商用化もしくは実証実験を実施中。2006年6月にはKT(韓国通信)がWiBroという名称で、いち早く商用サービスを展開。北米でもSprint Nextelが導入を計画している。また台湾では官民一体となって、WiMAXの機器開発販売などを進める「M-Taiwanプロジェクト」を推進している。
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