グーグル PageRank下降はペナルティか--検索エンジンを惑わせる有料リンク - (page 2)

鳴海淳義(編集部)2007年11月29日 06時00分

国内サイトにもペナルティ

 10月のタイミングでPageRankが落ちたサイトの1つであるjapan.internet.comでは、左のサイドバーに「スペシャルリンク」と「インフォメーション」という欄を設けている。

 これらの枠はサイト内のほぼすべてのページに表示されるため、結果的に大量な数のリンクが発生する。しかもその内容はサイトの主コンテンツであるIT系ニュースとは無関係なキーワードだ。

 同サイトの評価が落ちたのは、おそらくこれらのリンクが有料リンクと見なされたためのようだ。以前、このサイトのPageRankは6だったが、10月末ごろを境に4に下落した。PageRankのデータベースが更新された際には、どのサイトでも多少の上下変動はあるものだが、一気に2ポイントも落ちるのは異例のことだ。Googleによるペナルティか、あるいは同サイトは米国internet.comのサブドメインであることから、米国側のPageRank下降の影響もあり得る。

 有料リンクの価格は、販売側のサイトのPageRankと張る場所によって変わる。PageRankが高いサイトはより高い価格でリンクを売れるが、それが下降すると“重要なサイト”であるというインセンティブが失われることになる。japan.internet.comから「新築マンション」や「新築一戸建て」などのキーワードでリンクを購入しているリクルートに話を聞くと、同社としては現在の契約が満了するうちはjapan.internet.comにリンクを張り続ける予定だという。

有料リンクとテキスト広告の違いは何か、そしてどうやって見つけるのか

 ただ、有料リンクとキーワード広告の境界線は不透明だ。アイレップの渡辺氏に聞くと、「そこは限りなくグレー。それがこの問題のとても難しいところ」と話す。

 Googleが何をもって有料リンクを判別しているかは明らかにされておらず、当のGoogleもその定義をできずにいるのではないか、と思わせるような出来事も実際に起きている。Googleが同社のエンタープライズ製品を販売しているパートナー企業のリストを載せている「Google Enterprise」というページがある。そのページは提携サイトを紹介しているにすぎないが、Googleに年間1万ドルを払えばリンクが張られるため、Google自らが有料リンクを販売していることになるではないかと指摘を受けたのだ。

 しかし、特定の製品ページでその製品を販売している企業を紹介することは不自然な行為ではない。さらにSEO目的とも考えられないため、有料リンクとはならないはずだ。だが、Googleはこの指摘を受け入れ、当該ページのPageRankを0にしてしまった(現在は6)。つまり、Google自体も明確な基準を作れていなかったといえよう。

 SEOに詳しいウェブプロデューサーの住太陽氏も次のように述べる。

 「有料リンクの定義や、有料リンクとテキスト広告との違いなどについて、今のところ明確な基準はありません。Googleとしては、そのリンクが広告である場合には、リンクのrel属性にnofollowを指定することを推奨していますが、あくまでもこれは推奨にすぎません」

 ところで、Googleは先のPageRank下降の際、どのようにして有料リンク販売サイトを見つけたのだろうか。渡辺氏は、「有料リンクはおそらくパターンで見つけることができるのではないか」と述べる。「要はサイトのリンク構造を分析していくと、リンクを販売しているサイトはまずテーマが関係なくて、無差別で、しかもそのサイトの大量のページから関係ないところに向かっていくので、パターン的におかしなリンク構造を持つサイトは見えてくる」

 ただ、これでは“アルゴリズム的に怪しいサイト”の見当をつけるところまでしかできないという。「問題なのはそのリンクが売られているかどうかまでは判断できないとこいうこと。あくまで怪しいリンク構造を持つところにフラグを立てて、実際にそれを販売しているかどうかは個別に判断している、というのがいまのやり方だと思われる」(渡辺氏)

 企業間で売買が行われたかまではコンピュータで見つけることはできない。そのため、仮に自分のサイトでお金をとらずにボランティアで大量かつ無関係なリンクを張ると、PageRankが落ちてしまう可能性もある。無意味なリンクは検索エンジンにとって害になるからだ。

 ※インターネットコムのPageRankの数値について当初誤りがあったため、修正致しました。

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