持続可能なエネルギーは市民の手で支える--日本でも始まる「地域エネルギー」

田中好伸(編集部)2007年11月16日 19時31分

 スウェーデンの地方都市ベクショー市では都市生活で消費する化石燃料をゼロにすることを宣言。デンマークでは、市民が出資した風力発電は固定価格制への源となっている。北欧では太陽光や風力などの持続可能なエネルギーを市民の手で支えていこうとする動きが活発になっているという。これらの動きが遠く離れた日本でも根付こうとしている。

 株式会社のおひさまエネルギーファンドは11月16日、長野県南信州や岡山県備前岡山、北海道石狩市の3つの地域で「地域エネルギー」事業を市民の出資で支援していくという「温暖化防止おひさまファンド」の募集を開始した。

 今回のファンドは、「原発や化石燃料に頼りたくない」「地球温暖化防止に貢献したい」「持続可能な地域をつくりたい」という意識の元で、3つの各地域で太陽光発電や風力発電の設備を開発、運営していくという事業に必要な資金を約半分を市民からの出資で賄うというものだ。もちろんファンドである以上、利回りが期待できる。

 対象となる事業は、長野県南信州地域での太陽光発電(電力量は1000kW)やグリーン熱など、岡山県備前岡山地域での太陽光発電(同400kW)やグリーン熱など、北海道石狩市での風力発電(同1650kW)となっている。これらの総事業費は18億4000万円。このうち8億9200万円をファンドで募集する。

 募集の区分は「A号匿名組合契約」と「B号匿名組合契約」の2種類。A号は、1口10万円で契約期間は10年。募集口数は3800口(総額3億8000万円)で目標年間分配利回りは2.1%となっている。一方のB号は、1口50万円で契約期間は15年。募集口数は1000口(総額5億円)で目標年間分配利回りは2.6%になっている。

 今回の総事業で年間3300トンの二酸化炭素(CO2)が削減される見込みだ。ファンドを運営するおひさまエネルギーファンドでは、ファンドの意義について「市民出資は、債券や株式などの“マネーゲーム”のようなものではなく、出資されたお金が地域資源を活用して、地域の持続可能なエネルギー事業に直接投資されることから、市民の一人ひとりの思いを、確実に温暖化防止に結びつける“活きたお金”となる」と説明している。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]