11月15日に開幕した、ウェブ業界のサービスや技術を紹介する総合展示会「Web2.0 EXPO Tokyo」で、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi」を手掛ける、ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏が「SNSの現状と可能性」と題したトークセッションを行った。
現在、1240万人の会員数を誇るmixi。「インターネット白書2007」の調査によると、SNS利用者の87.2%がmixiを利用しているという。特に20代前半のmixi会員数は国民の約半数にのぼる計算となり、いまや国民的サービスと言っても過言ではない存在にまで成長している。
一方、月間ページビュー(PV)で比較した場合の世界市場におけるmixiは、月間122億6000PVと、米国トップのSNS「MySpace」の約10分の1、米国3位の「Facebook」の約7分の1に留まる。しかしながら、同社の今期の売上高は97億円の見通しで、米国の大手SNSに引けを取らない収益力だ。
こうしたmixiの成長の要因について笠原氏は、(1)バーチャルな世界にリアルな人間関係を再現した“SNS自体の斬新さ”、(2)毎日使い続けてもらうことを意識し、コミュニケーションのしやすさや、日々変わるコンテンツといった“コミュニケーション機能を最重視”、(3)UGC(user generated contents)の一般化、(4)ユーザーが増えるほど価値が高まる“ネットワーク外部性”の4点にあると分析。さらに「発想の源となったのは米国のSNS。『ネット上で人とつながる』というコンセプトがおもしろいと感じたが、そのつながりは単に人間関係図を作成するという『静的』なものだった。しかし、その上でインタラクティブにコミュニケーションを図る『動的』な機能を充実させたことが特徴となり、ほかのSNSとの差別化につながった」と、成功の秘訣を付け加えた。
また、mixiのこうした高い収益力をおもに担っているのは広告だ。笠原氏によると、広告媒体としてのSNSは「ユーザー数・PV数によるメディア力、ユーザー属性に応じて可能なターゲティング、ユーザーと直接コミュニケーション可能なクチコミという3点の特長があり、広告価値が高い」といい、SNS独自のマーケティング手法として、公認コミュニティーを活用したタイアップ広告や動画を活用したバイラル動画広告という、ユーザー参加型の広告手法を紹介した。
11月1日に米Googleが発表したSNS向けアプリケーションを開発するための共通API「OpenSocial」への参加を表明しているmixi。笠原氏はその理由について「共通した規格のものを使ったほうが後々不便が少ないし、SNS全体を盛り上げていける」と説明。さらに、今後のmixiの展開について「APIによる開発プラットフォームの提供によるサービスの拡大」と改めて説明した。
笠原氏は「ユーザー数が1200万人以上に増え、ニーズも多様化してきている」とした上で、「それに応えるためにもユーザー自身が欲するアプリケーションをつくれる環境が必要。また自分がつくたアプリケーションがmixiを通じて広がっていくのは開発者にとってもうれしいこと。ユーザーが一緒にmixiを盛り上げていけるような柔軟なプラットフォームを提供したい」と述べた。
具体的なサービスとしては、まずはmixi上で稼動する、写真や動画の分類機能やゲームなどのアプリケーションを想定している。笠原氏は「理想はmixiを進化させたアプリケーション。思いもよらないようなサービスをユーザーの手でつくってもらい、mixiをダイナミックに変えてほしい」と、今後の進展に対する期待を語った。
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