Sun Microsystemsが同社の中核をなすJavaソフトウェアを真のオープンソースプロジェクトにする取り組みは、まだ初期の段階にある。しかし、この取り組みからはある具体的な成果が生まれた。長年にわたって協力を拒んできたRed Hatとの提携だ。
Red Hatは米国時間11月5日、Sunの「OpenJDK Community TCK License Agreement」に調印したことを発表した。これにより、Red Hatは、「Java Standard Edition」(Java SE)との互換性をテストするためのキット「Technology Compatibility Kit」(TCK)を利用できるようになる。Red Hatが主戦場とするサーバ市場でJavaは広く利用されているが、同社はこれまでJavaと強く結びつくことに消極的で、かつてのJavaの準プロプライエタリな手法についてSunを批判したこともあった。
しかし、ようやく両社の協力体制が整った。Javaサーバソフトウェアのサポートサービスを販売しているRed HatのJBoss部門の最高技術責任者(CTO)、Sacha Labourey氏は次のように述べている。「Red Hatは、Java技術をオープンソース化するSunの勇気ある決定を全面的に支持する。10年以上続くSunのリーダーシップにより、Java技術のエコシステムは今後、革新が加速する時代を迎え、多様な環境に広く行き渡ることから恩恵を享受するだろう」
もちろん、この言葉はニュースリリースで定番の美辞麗句のようにも聞こえる。しかし、2004年にRed HatのCTOを務めていたMichael Tiemann氏が、Sunの現最高経営責任者(CEO)Jonathan Schwartzに向かって言った次の言葉を考えるとき、Labourey氏の発言の重みと説得力はいっそう増してくる(ついでに言うと、Tiemann氏は現在、CNETブログネットワークのブロガーでもある)。「あなたはオープンソースコミュニティを愛していると言うが、どの程度の愛だろうか?もしオープンソースコミュニティを愛しているなら、Javaをオープンソース化すべきだ。Javaをオープンソース化しないのなら、あなたはわれわれを愛していない、あるいは少なくとも信頼していないということだろう。だとすれば、なぜわれわれがあなたを信頼しなくてはならないのか?」
Red Hatが2006年に買収したJBossは、当時すでにSunのJava開発プロジェクトに参加していたが、それはサーバ用の「Java Enterprise Edition」のみを対象としたものだった。今回の提携により、実際にJavaプログラムを実行する中核のランタイムソフトウェアを含むJava SEにまで対象が広がる。Red Hatによると、この提携を通じて、やがては独自のJavaランタイムソフトウェアを提供する計画だという。
JBoss部門の製品管理担当バイスプレジデントを務めるShaun Connolly氏は、「ライセンス協約に調印したことで、OpenJDKを含むSunのさまざまなオープンソースプロジェクトに、Red HatおよびJBoss部門の技術者が正式に協力できる仕組みが整った」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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