VAIO type Lは2006年に「ボードPC」というコンセプトで発売された、まったく新しいタイプのコンピュータである。そのデザインは、一目で「近未来」を感じさせてくれるモノだ。最近では企業のブランディングとして、オフィス環境のデザインから作り込む事例も増えてきた。もし近未来がテーマのオフィスデザインを行う場合、VAIO type Lは見逃せないチョイスとなる。
本体は「ボードPC」の呼び名の通り、1枚の板のようにコンパクトにまとまっている。PCだと認識させてくれる部分は液晶ディスプレイ。その回りを透明な板が取り囲み、ディスプレイを宙に浮かせることを実現している。透明な板の周囲はアルミのフレームが取り囲む、高級感漂う雰囲気を楽しむことができる。
その姿はちょうどフォトフレームのようである。フォトフレームはそれそのものが主役ではなく、中に納めて飾られる写真を楽しむための立役者のような存在だ。このVAIO type Lも、ディスプレイに映し出されるメディアやコンテンツを楽しむための、主張しない手段として、不在建築のようなフィロソフィーが感じられる。
ディスプレイだけが浮遊しているデザインは、細部にも採り入れられている。たとえば電源ランプ、ハードディスクのアクセスランプといったインジケータ類は、何もない透明な部分が点灯するギミックになっていて、ついつい観察していたくなってしまう。
透明フレームの右側には「クリアタッチボタン」と言われる静電式のボタンが仕込まれており、ミュージックボタン、上下の矢印キー、OKボタン、音量調整や音楽再生のコントロールを、マウスに触れずに操作できる。ちなみに表からタッチするだけでなく、裏からのタッチにも反応する。僕は個人的に、この操作の方が使いやすかった。
VAIO type Lは15.4インチワイド、19インチワイド、22インチワイドの3サイズがラインアップされている。このうち19インチワイドと22インチワイドはデスクトップだけでなく壁掛けにも対応しているが、15.4インチワイドのモデルはデスク上のみの対応だ。しかし付属しているスタンドが非常によくできている。
透明フレームの下辺が机に接するが、背面から見ると、滑り止めの足が上手く隠れるように取り付けられている。そしてそれこそフォトフレームのような足が中央から伸びる。この足のできが非常によい。
多くのフォトフレームのようにふらふら動かないがっしりとした剛性感がある。しかし軽い力で筐体の角度を変えることができ、使う状態に合わせて液晶を見やすい角度に調節することが可能だ。もっとも立てた角度で設置した場合の奥行きは約14cm。同じディスプレイサイズを持つノートPCに比べても小さい。
ノートPCのメリットは持ち運べることだが、15.4インチワイドのVAIO type Lには背面にハンドルが付いている。この点はまた後ほど触れることにする。
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