たとえば、あなたが仮想世界で事業を始めることを考えているとしよう。実際に参入する前に、仮想世界のユーザー数がどのくらいで、資金はいくら必要で、いくらぐらいの見返りが期待できるのか、といった具体的な数字を知りたいと思うはずだ。
今のところ、仮想世界に関して信用できる数値データを提供する調査機関などは存在しない。こうした現状は問題であり、解決されてしかるべきだと、コーネル大学の会計学教授Robert Bloomfield氏は考えている。
Bloomfield氏は、ブログ「Metaversed.com」の編集者を務めるNick Wilson氏とともに、こうしたデータを提供する初のシステム「Metaverse Market Index」(MMI)を立ち上げた。
「MMIの目標は、データとコミュニティを作り、メタバース全体の発展を支援することだ」と、Bloomfield氏は話す。「なぜなら、こうしたデータがなければ、誰も具体的な知見を得られないし、コミュニティと意見交換がなければ、意味のあるコンセンサスに達することもできないからだ」
2006年の間、「Second Life」などの仮想世界は、過度に楽観的なユーザー統計データを提示しているとして、批判にさらされてきた。また、仮想世界内のオフィスに相当額を投じる大手企業にとって、その投資が有効かどうかを知ることは重要だ。一部の企業は、Second Lifeでのプロジェクトの縮小や終了を発表しており、すでに仮想世界への反動も表面化している。
仮想世界内での広告設置を検討している企業にとって、数的指標は、単に役に立つというより、必要不可欠なものだ。
初心者のために説明すると、「メタバース」とは、多数のユーザーが利用する3D仮想世界を表す包括的な用語で、代表的なものとしてはSecond Life、「There」、多人数参加型オンラインゲーム「World of Warcraft」などがあり、似たようなオンライン環境がほかにも多数存在する。そして、大企業がこうした仮想世界に関する正確なデータを欲しがるのではないか、というBloomfield氏らの考えは、それほど的外れではない。IBMやCisco Systems、Intelなど多数の企業は、こうした仮想世界の中に相当規模の「領土」を確保しており、今後より多くの取り組みを行う意向を示している。
こうした意向の1つとして、テクノロジー分野で最大手の数社が関心を示しているのは、複数の異なる仮想世界を相互に運用可能にすることだ。これに対し、現在の仮想世界は、それぞれが独自技術で構築されており、互換性を持たない。
今のところ、MMIはまだ構想に毛が生えた程度で、Bloomfield氏とWilson氏は支援チームの確保も終えていない。実際、Bloomfield氏にとっての最優先事項は、人材を集めて諮問委員会を設立することで、この委員会が、時間と資金、影響力を活用してプロジェクトを推進するのに貢献できるという。
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