カリフォルニア州サンノゼ発--筆者は当地で開催中の「Virtual Worlds」カンファレンスに出席している。最も興味深く感じたことの1つは、誰もが「Second Life」との差別化について語っている点である。
確かにそれは理解できる動きだ。このカンファレンスの参加者らの多くは、仮想世界という概念につい最近参入したばかりの人々であり、誰もが知っている仮想世界といえば、Second Lifeになるだろう。
Second Lifeとの違いを見出そうとする動きは、次の2つの点において見られる。
まず1つめ。例えば筆者は現在「Blurring the lines between virtual and real worlds(仮想世界と現実世界の境界をあいまいにする)」というタイトルのパネルディスカッションに参加しているが、このようなパネルディスカッションでは参加者らが、Icarus Studiosというプラットフォーム企業からのパネラーに対し、彼らの技術はSecond Lifeの技術とどのように異なるのかと質問している点である。
次に筆者は、カンファレンスのプログラムを見てみた。すると裏表紙の内側にあるのは、Second Lifeと同様に2003年に開設された3Dソーシャル仮想世界「There.com」の広告である。
しかしThere.comは、Second Lifeの100分の1もメディアの注目を浴びなかった。そこで、誰もが知っているSecond Lifeに対し、自分の仮想世界をどのように位置づけるのかという疑問が生じる。
There.comの広告では、大きな画像を使ってSecond Lifeとの違いを示していた。
例えば、Second Lifeでは性的なコンテンツが大きな問題となっていることが、仮想世界への参入に関心を抱く多くの企業の共通の懸念であるため、There.comの広告ではポルノ禁止という大きなロゴを用いている。There.comは、誰もがどのようなコンテンツをも作成することができ、実際にさまざまなコンテンツが作成され、モラルが低下しているという懸念も生じているSecond Lifeのモデルとは全く異なることを全面に打ち出して、自身を安全な仮想世界と位置づけようとしている。
広告では、「There.comは『PG-13(13歳未満の利用には保護者の同意が必要)』環境であり、ポルノ、ヌード、不適切な表現は固く禁じられている」としている。「There.comは98%がユーザー作成のコンテンツで構成されているが、実際には各コンテンツは内部承認プロセスを経てから仮想世界に掲載される」(同広告)
おもしろいのは、Second Lifeを運営するLinden Labは今回のカンファレンスにはほとんど参加していないにもかかわらず、このような積極的な差別化が議論されている点である。同社は、以前は多くのカンファレンスの主要なスポンサーを務め、ある意味においては、そのメッセージで人々を圧倒してきた。
現在では、他のすべての無名な企業らが仮想世界の市場において、自社の製品やサービスがSecond Lifeとは異なることを何とか世間に知らしめたいとあがいているにもかかわらず、Second Lifeのメッセージは明確である。
Second Lifeは確かにイメージの問題と戦っているが、この分野では今も圧倒的な地位にある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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