ソニーは10月25日、2008年3月期第2四半期(7〜9月)決算を発表した。売上高は前年同期比12.3%(前年同期の為替レートを適用した場合、9%)増の2兆830億円、営業利益は前年同期208億円の損失に対し大幅増の905億円、当期純利益は737億円となった。売上高と純利益は第2四半期としては過去最高。この結果を受け、2008年3月期の業績予想を上方修正した。売上高が当初予測に比べ2000億円増の8兆9800億円、営業利益が同100億円増の4500億円、純利益においても100億円増の3300億円とする。
エレクトロニクス分野の売上高は前年同期比20.7%増となる1兆6631億円。増収に寄与した製品は、全地域で売上を伸ばした液晶テレビ「BRAVIA」とデジタルカメラ「サイバーショット」、海外で好調だったPC「バイオ」など。逆に、液晶リアプロジェクションテレビは市場縮小の影響で減収。営業利益は前年同期の80億円から1231.6%増加し1069億円となった。要因は売り上げ増、販売費、一般管理費の減少と為替の影響。利益面では、PLAYSTATION 3(PS3)向け半導体の売上が増加したLSI、バイオ、サイバーショットが貢献した。
液晶テレビ事業は、売り上げが伸びたものの、フルHDモデルの投入が競合に対し出遅れた影響のため価格を下げざるを得ず赤字となった。フルHD製品の投入が遅れた要因は、特にHD放送が未整備な欧州での需要予測にあるとした。
持分法適用会社となるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズについては、売上高が7%増の31億800万ユーロ。ただし税引き前利益は、3億8400万ユーロと11%減。持分法によるソニーへの影響額は211億円で3%減となった。第1四半期に引き続きウォークマンケータイ、サイバーショットケータイが業績に貢献した。
ゲーム事業については、PS3の発売によって売上高が前年同期比42.9%増の1966億円となった。ハードウェアでは、PLAYSTATION 3に加え、軽量化した新型のPSP(プレイステーション・ポータブル)が貢献し増収。しかしソフトウェアでは、PS2およびPSPソフトの売り上げが伸びず減収となった。ゲーム事業の営業損失はPS3の逆ざや(製造コストを下回る価格設定)の影響で前年同期から532億円拡大し、967億円となった。
映画分野においては、売上高が前年同期比6.4%増の1896億円。営業利益は前年同期153億円の損失に対し、27億円の利益。要因として、映画作品のテレビ向け売り上げの増加や米国外での番組配信事業での広告および受信料収入、劇場公開作品の減少に伴う広告宣伝費の減少などが挙げられるとした。
金融ビジネス分野では、ソニー生命の減収により売上高が前年同期比6.3%減の1575億円。営業利益も同様にソニー生命の減益の影響で5.8%の減益とした。なお、ソニーフィナンシャルホールディングスの東京証券取引所一部上場で得た利益の使い道は、エレクトロニクス分野への投資や新規の研究開発費、M&Aなどとした。
EVP兼CFO(最高財務責任者)の大根田伸行氏は液晶テレビの今後について「秋モデルではフルHD製品も揃い、特に国内や米国ではシェア4〜5%が向上している」とし、年間販売数も計画通り1000万台のままとしている。PLAYSTATION 3については、「値下げにより販売数は伸びている」「ソフトメーカーに対するサポートを厚くしていく」などと説明し、年間出荷数1100万台の計画は変えず、2009年3月期のゲーム事業黒字化を目指すとした。
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