ソニーは7月26日、2007年度第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比13.3%増の1兆9765億円、営業利益は同じく267.2%増の993億円、当期純利益は同じく105.8%増の665億円となった。第1四半期で営業利益が993億円は、過去最高の成績。
エレクトロニクス分野では12%の売り上げ高増加となった。製品別で見ると全地域で好調のデジタルカメラ「サイバーショット」、海外で販売台数が増加した液晶テレビ「BRAVIA」、欧米を中心に好調だったビデオカメラなどが増収に貢献した。営業利益は77%の増加であり、利益率の高いカテゴリは上からデジタルカメラ、ビデオカメラ、イメージセンサ、パソコン「VAIO」となる。損失額が大きいのは液晶テレビ、液晶リアプロジェクションテレビ。
エレクトロニクス分野の増益の最大の稼ぎ柱は、好調なデジタルイメージング関係だ。オーディオも増益に貢献しており、VAIOはコストダウンが進んでいるほか、カラーバリエーションモデルが売れている。
絶対的な額でいえば、サイバーショット(デジカメ)は売上高的にも利益的にも大きい。一方、デジタル一眼レフのアルファシリーズについては、新製品の投入が遅れていることを認めた。今年度中には新機種を出すことで、600万台から700万台と言われるデジタル一眼レフカメラ市場の10%獲得に向け、盛り返しを狙う。
単価下落の影響を受けた液晶テレビ、市場の急激な縮小と価格下落の影響を受けた液晶リアプロテレビは減益の要因となっている。
液晶テレビについては、競合他社が春に向けてフルHDモデルを全面に出してラインナップを揃えたにもかかわらず、BRAVIAはフルHDモデルで出遅れてしまった。そのため、価格で勝負することになって単価を下げざるをなかったことが減益の最大要因との反省。
昨年、ソニーとサムスンが合弁で韓国忠清南道に設立した第8世代アモルファスTFT液晶ディスプレイパネルの製造ラインはすでに稼動を開始している。8月からは通常の商業生産につながる製造が始まる。このラインでは、1枚のガラス基板から50インチのパネルであれば一度に6枚を取ることができ、大幅なコスト削減が可能となるという。コスト削減とあわせ、秋に向けてフルHDでコンペティティブな商品を出すことで、2007年度下期は競合他社と性能で闘えるでのはないかとの見方を示した。
持分法適用会社となるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズについては、売上高で37%増の31億1200万ユーロ、税引き前利益が55%増の3億2700万ユーロと、売上・利益ともに高成長を達成。ウォークマン携帯、サイバーショット携帯が業績に貢献し、市場シェアは前年同期比3%アップの9%となった。
ゲーム事業については、2006年11月のPLAYSTATION 3の発売によって前年比60.5%増の売上高1966億円となった。しかし欧米におけるPS3の価格引き下げなどにより、営業損失は前年比24億円増の292億円。
ゲーム機についても、90ナノから65ナノプロセスへとセルプロセッサの製造工程を見直すなど、コスト削減の努力を続けている。
国内でのPS3値下げについて、執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏は「戦略上たいへん大きな問題であり、いつからどのぐらい下げるかはご容赦願いたい」と、時期や幅は名言できないものの、値下げすることを示唆した。
2007年度は通期で営業利益率5%を目標としていることについて大根田伸行氏は、「テレビについては残念な結果となってしまったが、他のカテゴリではけっこう力を付けて来た。通期での達成確度については、エレクトロニクスが当初予想より上方にいくのではないか」と述べ、全体としては5%の利益を達成できるとの見方を示した。
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