マイクロソフトは10月17日、検索サービス「Live Search」が9月27日に実施した機能強化および、日本での取り組みについての説明会を実施した。
9月27日に行われた機能強化では、検索のインデックスサイズを4倍以上に増やしたほか、検索キーワードの把握機能や修正機能を強化したほか、アルゴリズムの大幅な改善を実施している。
また、「エンターテインメント」「ヘルス」「ショッピング」「地域検索」の4分野については、分野別検索の機能を強化している。「精度を上げることは当然重要だが、検索結果の中にさまざまな情報を入れることで、ユーザーのエクスペリエンスを今以上にするためのトライアルの一環」とマイクロソフトオンラインサービス事業部プロダクトマネージメントグループシニアディレクターの浅川秀治氏は説明する。
まず、エンターテインメント検索では、芸能人や有名人を検索した際、検索結果ページにその人物の画像やニュースなどを表示する。また、「Video」のタブから動画検索を行うと、検索結果ページに表示された動画のサムネイルにマウスオーバーするだけで、動画のハイライトシーンを再生できる。さらに「Celebrity xRank」という、独自の人気ランキングも表示する。
ヘルス検索では、米国の病院「Mayo Clinic」から提供されたコンテンツを表示するほか、閲覧ページを保存するスクラップブック機能を実装した。また、プライベートな内容を検索するケースが多いことから、HTTPS通信を採用するほか、90日間でログが削除されるようになっている。また、地域検索では店舗の検索やその店舗の画像表示、主要幹線往路や空港からの道順案内などの機能を備えている。
これらの機能は現在米国版のみで提供されているもので、日本での取り組みについては、「日本のユーザーに合わせてプランニングしている」(マイクロソフトオンラインサービス事業部プロダクトマネージメントグループサーチチームプロダクトマネージャーの吉岡さやか氏)という。また、そのほか日本での取り組みとしては、マウスオーバーで表示画面中のキーワードの検索結果を確認できる「Live Search サイドビュー」や、ラジオ局のウェブサイトなどでの導入などの事例を紹介した。
さらに、マイクロソフトGPD開発統括部プログラムマネージャで工学博士の中島浩之氏が日本語版Live Searchのアップデート情報を説明した。
日本語版でもインデックスが4倍になっており、その結果、検索結果が10件以下になるというケースが従来の半数に改善されたという。また、プラットフォームやクローリングのアルゴリズムも改善している。そのほか、「RankNet」と呼ぶニューラルネットワーク(脳の情報処理の仕組みをコンピュータ内で実現したもの)を検索のランキング付けに利用していたが、これを言語ごとのモデルに変更し、日本語での学習精度を高めた。
また、日本語を検索処理する場合、キーワードを単語単位で切り分ける必要がある。2006年秋ごろまではこの単語切り分けの精度があまり高くなかったが、徐々に精度を上げており、「1単語の検索についてはライバルと同様かそれ以上の精度になった」(中島氏)という。
同社では言語ごとに検索精度を計測しているが、日本でサービスを展開する同社、ヤフー、グーグルの3つを比較した際、最も精度が高いのはヤフーではないかと説明。そして2007年9月までは2位がグーグルだったが、10月については「Live Searchが上回っている」(中島氏)という見解を示した。
ここには、同社が検索キーワードに関するWikipediaの記述やYouTubeの動画などより、オフィシャルサイトが上位に来るほうが精度が高いと評価する点など、評価の基準によるところもあるが、「現状、グーグルとLive Searchはその程度の差」と自信を見せる。また、各言語で展開するLive Searchの中でも日本の検索精度は高く、「他言語を担当するエンジニアに助けを求められているくらい」(中島氏)だと説明した。
Live Searchの検索数ベースでのシェアは米国で11%、国内では5%だという。「チャレンジャーであることは間違いない。失うものは何もない。トライアルを行うことでユーザーにとって面白いサービスを提供していきたい」(浅川氏)。
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