Canonicalは、「Gutsy Gibbon」(「Ubuntu」Linux バージョン7.10の開発コード名)を現地時間10月18日にリリースする予定だ。これによって同社は、半年後にサーバ市場や他の市場に本格的に参入するための土台を固めたいと考えている。
半年後の2008年4月には、Gutsy Gibbonの後継である「Hardy Heron」(Ubuntu 8.04の開発コード名)がリリースされることになっている。Gutsy Gibbonはサポート期間がこれまでと同じ18カ月だが、Hardy Heronは長期間のサポートを提供する同社で2番目の製品となる予定だ。具体的にはデスクトップ版が3年、サーバ版が5年となる。
Gutsy Gibbonで進化した点としては、Hardy Heronに向けた体制を整えるものとしてCanonicalが期待する新機能が導入されたことがあると、同社の最高経営責任者(CEO)兼創設者Mark Shuttleworth氏は言う。たとえば、「ティックレスカーネル」は、プロセッサをこれまでより頻繁にスリープ状態にすることで、消費電力の抑制とサーバの仮想化パフォーマンス向上を図ったものだ。
「ティックレスと長期サポートの一方を取って他方を切り捨てるような状況にならなかったことに大変満足している。これは、カーネルに根本的な手術を施したようなものだ」とShuttleworth氏は語った。
このほか、Gutsy Gibbonに加えられる進化には、デスクトップ版のクールな3Dグラフィックや「Tracker」と呼ばれるデスクトップ検索機能がある。さらに、モバイル機器向けの「Ubuntu Mobile and Embedded Edition」も初登場する。
これと同時に、Canonicalはサポート担当と開発担当のスタッフを増員して、サーバ市場への参入に備えている。Linuxのトップ企業Red HatやNovellでもそうだが、サーバ市場はLinux事業での売り上げの大部分を占める。
「サーバ部門は急拡大している。これは、2008年4月のリリースの要となる長期サポート(LTS)の開始に備えるものだ」とShuttleworth氏は言う。サーバ部門は現在8名の従業員を抱え、さらに増員中だが、Canonicalはその統括者としてRich Clark氏を招き入れている。Clark氏は、金融サービスでのキャリアを背景に、性能と信頼性の向上、仮想化の推進に豊かな経験を有している人物だ。
サーバ部門はまた、サーバメーカーと共同での取り組みを開始し、メーカーのx86マシンでソフトウェアが確実に動作することを目指している。対象となるマシンは、Hardy Heronのリリース時に販売されているサーバだけでなく、5年間のサポート期間中に販売される新しいサーバも含む。
「リリース後にも非常に多くのハードウェアが販売される。以前のものを対象にすればすむ話ではない」とShuttleworth氏は述べた。この取り組みで完全な保証が実現するには至らないが、「十分動作させるのに必要な技術的対応はすべて実行できるという自信がある」とShuttleworth氏は語っている。
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