「ゲームプレーという要素がおろそかにされているとは言いたくないが、パズルを構成する1ピースにすぎないという扱いだ」(Sherman氏)
一方、一流企業がオンラインゲーム市場やバーチャルワールドに盛んに進出しているとはいえ、こうした環境こそ企業が開拓すべき道であるという認識が広告業界や金融業界にまだ広く浸透していないとする意見もある。
バーチャルワールドのプラットフォーム開発業者、Multiverse Networkの共同設立者であるCorey Bridges氏は次のように語っている。「オンラインゲーム市場が今すぐ躍進するわけではないと思う。オンラインゲームのような新しいメディアが登場しても、不思議なことに私たちは既成の枠や古い考えからなかなか脱却できない傾向がある。最初に登場したウェブサイトが印刷形式のパンフレットの域を脱していなかったことからもわかるとおり、意外性のない活用法しかできない」
Bridges氏は、店舗やアパレルショップのバーチャル版を確立することだけがバーチャルワールドやオンラインゲームを活用する最良の方法であるとする考えが企業に広まることを危惧している。
「現実世界の店舗をバーチャルの世界でも再現しようなどという考えは、ビットの世界にアトムを持ち込むようなもので、的外れもはなはだしい。そんな枠にとらわれた考え方をする理由はこれっぽっちもないのに」(Bridges氏)
この持論を裏付ける証拠として、Bridges氏は自らの過去の経験を紹介している。同氏がかつてその設立初期に勤務していたNetflixは、レンタルビデオやDVDを選ぶ環境が、「ドラマ」コーナーや「コメディ」コーナーを歩いて回るアナログ環境でなくてもよいことを証明した。つまり、必要な数だけフィルタを適用することによって自分が見たい映画を見つけるという、非常に画期的な方法を消費者にもたらしたのだ。
そしてこれこそが、バーチャルワールドやオンラインゲームをブランド構築のために活用したいと考える企業が従うべきモデルであり、既成の枠にとらわれない斬新な方法で顧客にアプローチするということだとBridges氏は語る。
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