そして、今年6月にデファクトスタンダードから新設分割というかたちでオークファンを設立。「商品販売を主な事業とするデファクトスタンダードから離れることで、データの中立性を確保できた」と武永社長は語る。同サービスの月間ユニークユーザー数は120万人。データの収集方法は、クロールやAPI、DBサーバへのアクセスなど、各サイトごとに異なっている。
「今後は、各会社がオークションを独自に始めると思います。PRADAが今年7月に期間限定のオークションを開始したことが話題になりましたし、イーベイもショッピングサイトをどんどん買収しています。海外への転売も当たり前になっていますし。アメリカではもはや『GMV=gross merchandise volume(総流通額)』が、指標となっています。もはやコマースとオークションの垣根がなくなりつつあるんです」
「現在日本には1000万人のネットオークションユーザーがいますが、潜在的なユーザーがまだ2000〜3000万人いるといわれています。その潜在層を掘り起こしていくのが我々の役目です」
「我々としても、「オークション」という概念にこだわらず、情報産業にシフトしていくつもりです。ビジネスモデルをどう構築するかが勝負なので、現在手元にある2億件の商品・価格データをはじめ、ユーザー・PVなどのマーケティングデータをどう活かすか考えているところです。会員制にしたり、統計情報をリサーチできるようにしたり、コミュニティ機能をつけたりしているのは、その第一歩です。ほかにも、データ販売事業やオークション関連の金融事業、セミナー事業などを視野に入れています」
「需要と供給の関係を公明正大に反映しているのが、オークションの価格じゃないでしょうか。オークファンのデータを見れば、どんな商品を他のユーザーが支持しているかも一発でわかります。新商品の人気も、初日の3時間の値段変動をチェックするだけで判明します。最初は全業者を敵に回すかもしれませんが、そういう消費者の側に立ったビジネスをし続けたいですね。株価に誰も文句は言わないじゃないですか」
流通コストの壁を限りなく低くする可能性のあるネットオークション市場において、誰もが参照する指標が定着すれば、それは大きな武器となる。「ゴールドラッシュ時代にリーバイスが大儲けしたように」(武永社長)、新しい潮流の側面からアプローチするビジネス展開を図る。
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