8月1日、デジタルフォレスト主催のイベント「第3回WebマーケティングROI Day」が開催された。基調講演には、ウェブコンサルティング会社Web Analytics Demystified プレジデント兼主席コンサルタントのEric Peterson氏が登壇した。
同氏は、ウェブ解析に関する研究機関Jupiter Researchのアナリストを長年務め、2007年5月にWeb Analytics Demystifiedを立ち上げたウェブ解析のパイオニアとして知られている。
「現在、世界の多くの企業がウェブ解析ツールを活用しているが、それに対する投資管理のための明確なプロセスを使っているのは8%にすぎない」と講演の冒頭でPeterson氏は述べた。
ウェブ解析は難しい。ウェブサイトを実際に計測する際の真の課題は「適切なときに、適切な人に対して、適切な情報を与えてて、適切な判断を下し、成果を上げていくこと」だが、これを成功させるための特効薬がないからだ。一方で企業のウェブ解析活用を研究すると、越えるのが難しい3つの「キャズム」が見えてくるとPeterson氏はグラフを用いて説明した。
1つ目のキャズムは「投資」フェイズ。ウェブサイトとオンラインビジネスを成功させるための財務的なリソースを振り向けることだ。2つ目は、「人員を配置する」キャズム。つまり、技術だけでなく、優れた人材を配置してウェブ解析をしなければいけないと実感することだ。そして、一番重要で困難なのが最後のキャズムである「プロセス」で、これを越えた企業はまだ少ないとPeterson氏は指摘し、プロセスキャズムを越えたときこそ、Amazon.comやeBay、Apple、Dellといった優れた企業の仲間に入れると語った。
ウェブ解析を活用する際に、適切なコーディングができない、あるいは情報の受け取り手に対しての啓蒙ができない、情報の分析ができない、また適切なマーケティングキャンペーンを特定できないなど、多くの企業で共通の問題が発生する。それに対処するものがプロセスなのだという。
ウェブ解析のプロセスは、基本的にビジネスの目標を定めるところから始まり、ウェブサイトの継続的な改善で終わる。さらに改良、開発、テスト、計測というサイクルを加えることで、ビジネスの実現が見えてくる。
「一番の問題は、ウェブ解析のデータをビジネスに活かしきれていないことだ。それを防止するための明確な戦略は存在しています。プロセスは組織の中でウェブ解析を最適な状態で使用するために欠かせないものです。プロセスを持っていなければ、ウェブビジネスが破綻しかねない」(Peterson氏)
その裏づけとして、「米国の企業で規定されたプロセスを活用している会社の50%が、ウェブ解析ツールの投資からプラスの収益を得ている」という調査結果が紹介された。プロセス重視型アプローチを使うことで、高いレベルのアクティビティ、分析ができるということだ。ビジネスプロセスを確立し、成果を解析できることが重要であり、最高の方法だとPeterson氏は強調した。
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