デジタルフォレストは11月9日、東京ビックサイトでネットマーケティングのカンファレンスである「第2回 WebマーケティングROI Day」を開催した。国内外からネットマーケティングの著名人を招き、ネットマーケティングの費用対効果(ROI)改善と未来像などについて講演や対談などを実施。定員の5割増しとなる1500人から申し込みがあり、国内におけるネットマーケティングへの関心の高さが浮き彫りとなった。
基調講演ではコンサルティング会社の米Future Nowの最高考案責任者(CTO=chief Thinking Officer)であるJohn Quarto-von Tivadar氏が登壇した。同氏は集客数に対する実購買の比率を表わすコンバージョンレートで、宝飾卸企業のそれを0.86%から54.1%に押し上げた実績を持つ著名コンサルタント。その実現の原動力となった哲学と方法論の概略などについて、「お客様志向のWebマーケティング品質改善」と題して講演した。各論については別枠で解説した。
Tivadar氏はコンバージョンの本質的な定義を「企業が顧客に望んだ行動を取ってもらうための説得をする能力」としたうえで、トラフィックの増大やビジネスの方法論およびツールを主軸に事業展開している企業事例を批判しながら、コンバージョン率の向上という目標を本質的に理解している企業が世界的少ないと指摘した。
ネットマーケティングを成功させるには、企業は消費者視点でさまざまな利用シーンを想起し、企業と消費者間での共感がベースにあることが前提であると確認。その上で、利用者の望むコンテンツあるいはリンクをサイト上で提供できているか否かが重要であるとした。
そのためには、消費者主導のサービスを提供しようとする姿勢と、LPO(ランディングページ最適化)などのような部分的な展開ではなく、きちんとしたストーリー設定に基づき、利用者にとって包括的に最適化されたサイト作りが重要であるとした。
パネルディスカッションでは。「Webマーケティングの未来像」と題して、ネットエイジグループ社長の西川潔氏とサイバーエージェント社長の藤田晋氏が対談した。
両氏はまず、2005年から2006年にかけて一気にCGM(消費者生成メディア)の広告価値が注目され出したことを確認。「mixi」などコミュニティサイトの広告については、「単価が安いので費用対効果は高く急速に伸びているが、現場の担当者はどのように広告するか手探り状態」(藤田氏)と解説した。また、CGMの急拡大による恩恵としてアフィリエイトについて語り、「Eコマースは究極的にはアフィリエイトだけの展開が最も効率的」(西川氏)と今後さらなる需要が見込めることを示唆した。
携帯広告市場については、「(法改正に伴う貸金業の広告抑制が影響し)一時的に鈍化しているが、ページビューは伸びていて目を見張る成長が期待できる」(藤田氏)とする一方、「携帯はPCのユーザーと別だと割り切って向き合わないと駄目」(同)と携帯のユーザー属性が事業展開に重要であると強調した。
今後期待される動画広告については「これからは有望だが、現時点で本来見るべき状況の人が1割も見ていない」(藤田氏)との現状認識。RSS広告については「Internet Explorer 7が2007年には行き渡り、2006年までないに等しかったRSS広告市場が成立する。一方でその後はメール広告が急速に廃れていく」(西川氏)との見方を示した。
その他ではニューズ・ツー・ユー社長の神原弥奈子氏、フィードパスCOOの小川浩氏などが講演した。
次回の「WebマーケティングROI Day」は2007年8月1日に東京国際フォーラムで実施する予定で、1500人の動員を想定している。
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