Sunは、1990年代前半から半ばにかけてサーバメーカー各社へのUltraSPARCチップ販売を試みたが、事業は縮小してしまった。それ以降、Tadpole ComputerがSPARCベースのノートPCを販売するなど、UltraSPARCチップはほかのメーカーにも採用されてはいるが、Sunはこのビジネスに大きな力を入れてこなかった。
SunはエグゼクティブバイスプレジデントのDavid Yen氏指揮のもと、2007年前半にマイクロプロセッサグループを設置した。しかし、同グループはこれまで、UltraSPARCチップの製造ライセンスを他社に発行することに集中していた。Sunでは、チップ単体ではなく、完成したサーバに搭載するコンポーネントとしてUltraSPARC T1を販売している。
ある意味、顧客はこのような形で既にSunの機器を利用していると、Schwartz氏は語る。顧客を調査したところ、UltraSPARC T1サーバ購入者の85%が同製品をサーバとして利用しており、残りの15%は従来のサーバ以外の機能で利用していることが分かった。
Sunのソフトウェア事業部も新市場への参入を再び進める、とSchwartz氏は語っている。UltraSPARCハードウェアが増えることで、SolarisやJavaに移行する顧客も増えると、同氏は断言した。
だが、Sunの判断は、おそらくコストも一因となっている。新しいマイクロプロセッサの設計には数百万ドルのコストがかかり、競争力を維持するには数年おきに新しいチップやチップアーキテクチャが必要になる。いわゆるx86チップがサーバ市場を席巻したのも、製品の速い開発サイクルが一因だった。IntelとAdvanced Micro Devices(AMD)には、両社のチップのパフォーマンスを向上させることができた。
製造コストはもちろん、設計費用も高くなれば、チップメーカーが赤字を避けるためには、製品を可能な限り大量に販売する必要がある。
このような道をたどったコンピュータメーカーはSunが最初ではない。IBMも、自社のPowerPCチップを数年前からネットワーキング市場向けに販売してきた。PowerPCの売り上げは、Appleが同チップを自社のコンピュータに採用していたときでさえ、ネットワーク向けが大半を占めていた。
Intelも、x86チップを通信機器向けに販売している。
Sunの幹部やエンジニアは、テキサス州オースチンで今週開催されるイベントで新チップのベンチマークや各種データを公表する。UltraSPARC T2は8つのコアを搭載し、各コアが8つのスレッドを管理できる。各コアのスレッドごとに1つのOSを処理できるため、1基のチップで64個のOSを同時に実行できる計算だ。
Schwartz氏は、「ベンチマーク結果は間違いなく驚異的だ」と語っている。
UltraSPARC 1は8つのコアを搭載しているが、各コアはわずか4つのスレッドしか実行できない。
新チップはさらに、暗号アクセラレーションエンジンを8つ、10ギガビットイーサネットポートを2つ、そしてメモリチップへの高速アクセスを実現するメモリコントローラを1つ内蔵している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境