これは深刻な問題です。VCが少ないと、ベンチャー企業に資金が回らない。資金がなければ、起業する人も少なくなる。起業家が少なければ、プロジェクトの数も減る。プロジェクトが少ないと、イノベーションができない。イノベーションができないとなれば、大企業に行くしかない。これらはすべてつながっているのです。
起業家としての経験と、多くのコネクションが必要です。VCは、ベンチャー企業のリクルーティングや営業も支援しなくてはいけませんからね。また、VCはいいコーチでなくてはなりません。
ベンチャーファンドに対する税制優遇処置を設けるなど、何らかのインセンティブが必要でしょうね。日本では、なぜか優遇処置は大企業に有利に働いています。もっとベンチャー企業が恩恵を受けるような税制を設けるべきだと思います。ベンチャー企業こそ、将来を作る人たちなのですから。
日本の起業家は、とてもよく働き、規律正しく真面目な人たちです。これはとても貴重です。今後は、ベンチャー企業家こそ日本の将来を担う人たちなのだということをもっと一般の日本人にも理解してもらいたいですね。次世代の経済発展は、大企業ではなくベンチャー企業から起こるのです。
起業することを恐れてはいけません。東京大学のような有名大学の出身であっても、進んでベンチャー企業に入ってほしいと思います。一度失敗したとしても、有名大学を出ていれば次の職はすぐに見つかるでしょう。だから、リスクを取ることを恐れないでほしい。独立心を養い、自分で考える力をつけてほしいと思います。
起業家は、形式にこだわっていてはいけないのです。人生は教科書通りに進むものではありません。教科書も大切ですが、そこからヒントを得て分析し、教科書にはない課題にも立ち向かっていかなくてはならないのです。
それから、起業するのに年齢は関係ないということもアドバイスしたいと思います。起業家というと若者をイメージしがちですが、実はアメリカでIPOする企業の経営者の半数近くは50歳以上なんですよ。日本でも、イー・アクセス CEOの千本倖生氏が同社を創業したのは57歳でした。それでもNTTに立ち向かい、社会を変えようとしています。
千本氏については、もうひとつ日本であまり見かけない例を実践した人物といえます。それは、長年大企業に勤め、そこで学んだ経験をベンチャー企業に生かそうとしている点です。アメリカではこのようなタイプの起業家がどんどん出てきています。YahooやSun Microsystems、Appleなどで10年以上勤務した人が、新しく会社を創業していますから。
エンジニアにしてもそうです。シリコンバレーのベンチャー企業に勤めるエンジニアの多くは、過去に大企業に勤めていた人たちです。こうしたエンジニアは、IBMのような巨大な企業から小さなベンチャー企業に転職し、自由に仕事をしています。自由がなければイノベーションも生まれません。
すぐに日本のベンチャー事情を変えることは難しいと思いますが、これから徐々に変わっていってほしいと思います。Red Herringも、そのために支援を続けていきたいと思います。
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