700MHz帯のオープンな活用を目指して--無線周波数帯をめぐるグーグルの戦い - (page 2)

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:吉井美有2007年08月08日 08時00分

―Googleは最近、無線送信権利の卸売を望む企業へのオープンアクセスを含む、一定のオープンアクセス原則をFCCが保証した場合にのみ700MHz周波数帯オークションに参加すると発言しています。これは、この原則が導入されなければGoogleはオークションに参加しないということですか。

 厳密にはそうは発言していません。われわれは、これらの周波数帯に対するオープンアクセス原則がオークションの価値を損なう可能性があるという主張について懸念を持っていると発言したのです。われわれは、ユーザや消費者の利益のために完全なオープン性を実現することが、オークションの総収入を減少させることはないということを、FCCに対し請け合いたいと考えました。そして、われわれは発言したことに対して支出を伴わせたいと考えており、われわれの原則があるところに資金を出そうとしています。ですから、もし4つの原則すべてが導入されれば、オークションで最低46億ドルを支払うと約束しました。

―では、FCCが4つの原則すべてを導入しなければGoogleはオークションに参加しないというわけではないのですね。

 われわれは、エンドユーザの利益のためにこの業界を変えるべく大きくコミットしています。

―FCC委員長のKevin Martin氏の提案には、端末とソフトウェアアプリケーションに対するオープンアクセス要件は含まれていますが、卸売は含まれていません。これは、市場の競争を保証するのに十分だと思いますか。

 わたしはそうは思いません。しかし、委員長が大きな一歩を踏み出したことは評価しています。これは、彼がオープン性の原則を取り入れるにあたって両サイドの主張を採用しようとしていることの表れだと思います。

 7月24日に行われた公聴会で、民主党と共和党の両方が、現在の市場に欠けているものを補おうとする活動を後押ししようとしていたのは、素晴らしいことでした。ユーザは幸せではありません。彼らはソフトウェアも選べません。どこからインターネットに接続するかも選べません。使う端末も選べません。そして、サービスの費用は高すぎます。

 われわれは、端末とソフトウェアのオープン性の原則に加えて卸売モデルも組み込むことが重要だと考えています。なぜなら、卸売によって他の小さな企業の参入が起こり、重要な競争相手になる機会が提供されるからです。

―Verizon WirelessとAT&TがMartin委員長の提案を支持すると発言したのを見て、わたしは赤信号だと感じました。というのは、もちろんご存じでしょうが、彼らは自分たちの事業にダメージを与えうるものに対しては、決して戦うことをやめないからです。このため、Martin氏の提案はどのみち市場には大きな影響を与えないかもしれないとわたしは思いました。あなたはどう思われますか。

 あなたの直感はおそらく正しいと思います。どんな提案であれ、VerizonとAT&Tが飛びついたとなれば、それを問い直すべきだと思います。彼らの隠れた思惑が何なのかを考える必要があります。そして、それが議会の経緯をみる理由であり、アクティビストたちがこれらのオープン性原則の範囲や時宜性の必要性、明確な実行の必要性についてはっきり理解できるようにするべきです。

 しかし、ここで誰もが過小評価していることは、米国民の意思です。この問題については多くのマスコミ報道があり、われわれは米国の消費者たちがモバイルサービスに感じている欲求不満を理解しつつあります。今のモバイルサービスに満足している人はいないでしょう。人々と話し始め、彼らが問題を理解し始めたときこそ、われわれが本当に物事を変える勢いを得られるときです。わたしは、消費者たちが自分たちの選択肢を意識し始め、改善を望み始めるという変化は、700MHzオークションを超える変革につながると思います。

―Martin委員長が電話会社を苦しめる可能性のある規制を提案することはほとんどありません。彼の提案は、彼が消費者のことを気にかけているという中身のないポーズだと思いますか。

 いいえ。彼は多くの利害関係を調整しようとしているのだと思います。わたしは、これまでのところ彼はかなりいい仕事をしていると思います。しかし、より多くの人がこの論争のニュアンスのペースに追いついてくるにつれて、消費者サイドの側は、自分たちの考えを表明して本当に欲しいサービスを要求しなければと感じ始めているのです。

―700MHzオークションの計画は、Googleの都市規模の無線LAN計画と合致するのでしょうか。例えば、これはGoogleの都市規模ネットワークをより大きな、全国規模のネットワークに繋げる役割をするのでしょうか。

 わたしが都市規模の無線LANプロジェクトを始めたのはISP(インターネットサービスプロバイダ)になりたかったからではなく、国内のほとんどの地域では2社による寡占で、半分ではブロードバンドアクセスプロバイダが1社あるいはゼロという状況の中で、この国の多くの起業家が起業リスクを取ってネットワークを構築し、消費者に対して有意な代替アクセス手段を提供しようとしているのを知ったからです。

 しかし、起業家と組んで都市に無線アクセス環境を構築しようとする自治体に対して、既存事業者は訴訟を起こしています。私はこれが不満であり、「どんどん進めて、国中にこういうネットワークがうまく行くことを示そう。そして、他の場所でも開発を促すモデルとして活動しよう」と言ったわけです。これまで、400以上の都市でそのようなネットワークが構築されています。

―Googleは、無線の分野で多くのイニシアティブを取っています。モバイルについての戦略はどうなっているのでしょうか。これは、Googleのこれまでのインターネットでの戦略とは異なるのでしょうか。

 Googleの社是は、世界中の情報を体系化し、どこからでもアクセス可能で有益なものにすることです。モバイルは、このうち「どこからでもアクセスできる」という部分に狙いを定めるものです。そして、机に座っていないとき、DSLやケーブルテレビの線に繋がっていないときに必要な情報は何か、どんなデバイスを使ってその情報にアクセスするのか、そのデバイスの入出力の制約は何か、そしてその環境のためのサービスを作り、改善するにはどうすればよいのか、といった質問に答えるものです。

 Google Mobile Mapsで非常に面白い地図関連サービスを開始したのをご存じでしょう。これは、ローカル検索と交通、運転者向け情報を地図の形式にし、モバイルデバイスから非常にアクセスしやすいようにしたものです。この用途ではかなり価値の高いサービスであることが明らかになりつつあると思います。われわれは、この戦略を追求しつづけます。

 また、どこからでもアクセスできるということは、可能な限り多くの人がインターネットを使えるようにするための障害を除去していくことを意味します。現在の技術は、インターネットを誰にでも使えるものにできます。しかし、商業的あるいは政治的なさまざまな理由で、これは実現されていません。われわれはこの障害を1つずつ調べて、どうすればみんながインターネットを使えるようにするための変化を起こせるかを考えていきます。

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