リクルートの緑川氏は、カスタマーとクライアントの両方を獲得する戦略として、モバイルサイト「R25式モバイル」誕生の経緯を語った。
同社はこれまで、就職、旅行、住宅購入などの分野で、対象を比較検討できる雑誌媒体を提供し、クライアントの出稿によって利益を上げてきた。
しかし、昨今ではカスタマーがネットで独自に比較検討し始め、口コミを重視、さらには比較検討せずに購入する傾向になってきている。
一方のクライアントも自社でネット対応し、雑誌媒体は使わずテレビCMにシフトしている。
そのため、従来の戦略では介在価値が無くなってきたと緑川氏はいう。
これらの問題を解決し、新たな広告マーケットを開拓するため、クロスメディアで勝負をかけるR25式モバイルという戦略的メディアを立ち上げた。R25、L25は、M1・F1層と呼ばれる20〜34歳までの男女をターゲットにしたフリーペーパーとして知られている。この年齢層は、クライアントが最もアプローチしたい層だと緑川氏は述べた。
「この年齢層は、テレビも見ない、新聞、雑誌も読まなくなった人達が多いというのが特徴です。ここに確実にリーチできるメディアを代理店が欲しがっていたので、媒体を出せば成功するかもしれないという思いがありました」(緑川氏)
しかし、フリーペーパーを提供するだけが我々のやり方ではないと緑川氏はいう。朝起きてから家に帰るまでをひとつの行動導線とすると、ユーザーは複数のメディアを渡り歩いて1日を過ごす。それをマークし、1日の中でコンタクトポイントを獲得していった。駅の改札や中刷り、携帯電話など、同じブランドで複数メディアを組み合わせて情報提供することで、広告内容の理解度をアップさせていった。
その導線の一部を担うのがR25式モバイルだ。フリーペーパーが週1回の発行であるのに対し、モバイルは、朝起きたとき、寝る前のすきま時間にリーチできるメディアとして活用できる。R25式モバイルは月間のユニークユーザー150万人のうち半分をM1が占め、L25は70%がF1となっている。これまでリーチできなかった層に届いているために媒体価値が高まったという。
「クロスメディアパッケージとして、R25のフリーペーパー、中吊り、モバイルなど、複数の媒体を提供したところ、1件当たり3000万〜5000万円、会社によっては1億円投じてプロモーションを実施するクライアントも増えています。モバイル単独で営業はかけにくいが、クロスメディアパッケージとして売れば営業しやすくなります」(緑川氏)
また、緑川氏は、集客率アップのためにR25モバイルのサイトをリニューアルし、朝・昼・夜でコンテンツを変えていると述べた。
「R25のユーザーは、朝、昼、夜で利用のしかたが違います。ユーザーの3分の1は1日2回以上アクセスするので、コンテンツの内容をオン(朝)オフ(夜)変えています。夜になるとスポーツ速報やアイドルの情報を掲載するなど、テレビ広告のように番組編成ができて、売上構成が変わってくると期待しています」(緑川氏)
緑川氏は、モバイルECはまだまだ開拓できていないと述べ、PCで盛り上がっている広告にはもっとリーチできるはず、ECと広告はこれから成長するとみている。
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