Microsoftでは自社の「シェアードソース」と、これより広く普及するオープンソース運動とを明確に区別してきた。だが今は、オープンソースを啓蒙する組織に対し、自社の成果物に対する正式な認可を求めようとしている。
Microsoftは先週、O'Reilly's Open Source Conferenceで、同社のシェアードソースライセンスをOpen Source Initiative(OSI)に提出する意向をあきらかにした。同組織は、新しいライセンスが、自ら掲げる基準に合致するかどうかを審査している。だが、オープンソースライセンスの増加が、ソースコード共有時の法的障害を引き起こしているため、OSIはライセンス数の削減に取り組んでいる。
Microsoftのソースプログラム担当ディレクターJon Rosenberg氏は、この措置をMicrosoftのオープンソースブログ「Port 25」で次のように述べている。「オープンライセンスをOSIの承認プロセスに提出することを決定した。これにより、われわれは本日新たな節目を迎えた。ここでライセンスが承認されれば、自分たちが共有しているコードが真のオープンソースであることに、コミュニティは自信を深められるはずだ」と発表した。
Microsoftのように規模が大きく、業務内容も多岐にわたる会社が一貫した立場を維持するのは難しいことだ。しかし、オープンソースに関するMicrosoftの方針転換に混乱する人も多いだろう。同社は徐々にオープンソースソフトウェアへの取り組みを強化しているが、その一方でプロプライエタリなソフトウェアの理念を断念する気配は全く見えない。しかし、最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏は2007年に入り、Linux、OpenOffice.orgやそのほかのオープンソースプロジェクトはMicrosoftが保有する235件の特許を侵害していると非難し、何らかのライセンス契約を結ぶようオープンソース企業に働きかけたのだ。この発言により、Microsoftがこれまで何年もかけて実施してきたオープンソース界との橋渡し作業は台無しになってしまった。
Rosenberg氏は、オープンソースのスタイルがMicrosoft社内で徐々に受け入れられつつあることを示唆した。同社初のソースコード共有プロジェクトで、2004年にリリースされた「Windows Installer XML」パッケージは「グループバイスプレジデントのほか、多くの弁護士による承認を取り付ける必要があった」が、今ではこのようなプロジェクトが比較的当たり前になりつつあるという。
Rosenberg氏は、OSIとMicrosoftは協力する必要があると述べる。「MicrosoftとOSIではオープンソースの内容が全く異なる。しかし、互いに成熟期にあり、成長を維持するためには互いの関与が必要だ」と同氏は述べる。同氏はまた、OSIが正式な参加メンバーを加えた業界団体のような組織になるべきだという議論がなされていることに言及し、Microsoftがこの議論に関心があることも示唆した。
具体的にMicrosoftの名前は出さなかったものの、同氏は「このように高圧的な姿勢は自己破滅」を招き、「このような組織を必要以上に支持する」考えはどこからも生まれないのではとほのめかした。しかし、特許に関連する力の誇示や、その結果生じている問題を考えると、(OSIにとっては)Microsoftの懸念を受け入れようにも限度があるのかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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