モバイル業界のキーパーソンが集まり、モバイルビジネスの未来について熱い議論を交わしたモバイル・ビジネス・サミット 2007には、業界の中核を担う国内携帯キャリア主要3社、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの担当者も登場した。
「キャリア担当者に訊くメディア・コンテンツ・サービスの将来」と題して開かれたパネルディスカッションでは、シンクの代表取締役CEOである森祐治氏をモデレーターに、各社のコンテンツ関連サービスの現状をはじめ、サービスの提供プロセスの実状、外部企業とのコラボレーションにおける今後の展開などが語られた。
2006年10月の携帯ナンバーポータビリティ制度の開始以降、契約者のシェア争いにますます拍車のかかる携帯電話業界では、現在、キャリアがそれぞれ独自の路線を打ち出し、他社との差別化を明確にすることで、契約者を獲得しようという動きがある。
電気通信事業者協会(TCA)がまとめた携帯電話の月間契約数の集計で、5月、6月に2カ月連続で純増数1位を獲得したソフトバンクモバイルのプロダクト・サービス開発本部モバイル・メディア・コンテンツ統括部長、河野真太郎氏は「安い通話プランを提供している当社の場合、ARPU(加入者一人あたりの月間売上高)が下がってしまう。それを埋め合わせるために、通話料ではなくデータ通信料や情報料で利益を得られるように新しいサービスに注力している」と述べ、コンテンツにフォーカスした同社の事業戦略を明かした。
一方、NTTドコモは、端末の開発と供給に力を注ぐ戦略を打ち出す。同社のコンテンツ&カスタマ部長の山口善輝氏は「ARPUを上げるには、ユーザーにサービスを使ってもらうというのが大前提だ。ただ、ケータイで難しいのは、インフラビジネスでありながら、端末を売らなければ純増数が増えないし、使ってもらわなければ販売奨励金の手数料損になってしまうことだ。どれだけ使ってもらえるサービスを入れ込むかが1つの鍵になる。ただ、ユーザーがたとえ使わなくても“あれ欲しい!”と思ってもらえるような購入契機となるような機能をも入れなければ、端末は売れない。端末に搭載された機能をユーザーが使うかどうかと、購買意欲は別物である」と語った。
これに対し、KDDIのコンシューマ事業統括本部・コンシューマ商品企画本部・auサービス企画部長の竹之内剛氏は「コンシューマーが魅力を感じているパートナーといかに組むか重要。Googleとのパートナーシップによる検索サービスの提供はその一例だ」とし、デザインプロジェクトをはじめ、外部パートナーとのアライアンスを積極的に取り組みながらブランド力の強化を図る、同社の路線を明かした。
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