公共Wi-Fiサービスは企業に不公平?

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 市民のIT利用を促進している欧州では、図書館など公共の場所でPCやインターネットが利用できることが多い。このところのWi-Fiの普及を受け、公共サービスとしてWi-Fiを提供する自治体もある。フランスでも首都パリ市が7月16日、「Paris Wi-Fi」として無料のWi-Fiサービスを開始したばかりだ。だか、このParis Wi-Fiに公に反対する企業が出てきた。最大手のFrance Telecomだ。同社は“この公共サービスは企業に不公平”としてパリ市を訴えている。

 パリ市がParis Wi-Fiを発表したのは今年2月のことだ。図書館、美術館、公園、市役所前広場など約130箇所に約400のアクセスポイントを設置し、市民にWi-Fiを利用してもらおうというもの。公開入札の結果、この契約を獲得したのは、仏2番手のオペレーター、SFRと機器メーカーの仏Alcatel-Lucentの2社で、SFRが無線LANネットワークの運行・管理を担当し、Alcatel-Lucentがネットワークの実装を手がけることになった。

 7月中旬のサービス開始予定に向け、作業は順調に進んでいるかにみえた。だが7月に入り、France Telecomが3月末に行政裁判所に申し立てをしていることが発覚した。同社は、パリ市の無料Wi-Fiサービス提供は企業には不公平であり、競争に敵対するものだと主張しているという。France Telecomは無線オペレーター部門Orangeを持ち、Orangeはパリ市ですでに2250の商用アクセスポイントを実装・提供している。今回の申し立ては、市が無料でWi-Fiを提供すると、自分たちのビジネスが危うくなると判断したためだろう。これに対し、パリ市側は、Paris Wi-Fiの実際の実装や運営は市が行うのではないこと、提供時間が業務時間内に限られていること(24時間利用できるわけではない)などを挙げ、このサービスは競争を阻害するものではないと主張しているようだ。

 もちろん、今年2月に行われた公開入札にFrance Telecomも参加していた。だから、今回のFrance Telecomの訴えは一見、入札に敗れたことの腹いせのように見えるのだが、France Telecom側はチェコ・プラハの無料Wi-Fiサービスを欧州委員会がストップした前例を挙げており、主張の正当性に自信を見せているようだ。

 パリ市内で公共機関が提供しているWi-Fiサービスは、Paris Wi-Fiが初めてではない。すでに一部の区役所や図書館がサービスを提供している。France Telecomは、サポートやつながりやすさなどで有料サービスならではの差別化を出せば、市場はあるように思えるのだが。

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