Microsoftが地域のワイヤレスネットワークに進出する。Wi-Fi新興企業のMetroFiと提携を結び、MetroFiがオレゴン州ポートランドで展開する無料のワイヤレスインターネットサービスに、地域情報と広告を提供することになったのだ。サービス開始は2006年中の予定で、この件についてMicrosoftは米国時間11月14日付で発表を行った。
MetroFiの共同設立者で最高経営責任者(CEO)のChuck Haas氏によると、この戦略的提携により、Microsoftはレストラン、イベント、交通情報、ニュース、市の行政サービス、天気予報などの地域情報のほか、「Windows Live Search」の検索ボックスを備えたページをMSNブランドで提供し、ユーザーが見たウェブページの内容や検索したキーワードに関連する広告を掲載するという。
「Microsoftが公式に地域のWi-Fiネットワークに進出するのはこれが初めてだ。Microsoftがポートランドのネットワークに参加したことで、広告収入で運営されるWi-Fiモデルの有効性がさらに裏付けられた」(Haas氏)
MicrosoftはWi-Fiに関する今後の計画についてはコメントを避けたが、今後も同様の提携を結ぶ可能性があることは示唆した。
電子メールでの問い合わせに対し、MSNメディアネットワークグループのゼネラルマネージャーを務めるSam Klepper氏は「現時点で発表できるものは何もない。しかし、将来的には、MetroFiなどのワイヤレスインターネットプロバイダーや市当局と協力して、消費者や広告主に、今回と同じようなMSNのコンテンツやサービスを提供できればと思っている」と答えた。
インターネットサービスの分野でMicrosoftの最大のライバルであるGoogleは、地域のWi-Fiネットワークサービスに、より積極的に進出している。本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューでは、Googleは広告が掲載されないWi-Fiネットワークを構築している。また、サンフランシスコではEarthLinkと提携しているが、こちらはまだ調整すべき点が残っている。これとは別に、EarthLinkはフィラデルフィアなど、他の都市でWi-Fiネットワークを着々と構築している。
広告モデルによらない無料のWi-Fiネットワークはほかにもある。スペインの新興企業、FONは同社のWi-Fiルータを購入し、その地区にいる他のユーザーにアクセスポイントを公開する人に対し、無料のWi-Fiサービスを提供している。
調査会社Forrester ResearchのアナリストCharles Golvin氏は「広告提供技術に関していえば、MicrosoftはGoogleを追いかける立場にある。そのため、もっともなことだが、Microsoftは投資を活用できそうなあらゆる機会に目を向けている」と話す。
また、Golvin氏によると今回の提携は「市全域をカバーし、かなり広範囲にわたるワイヤレスネットワーク」であり、なおかつ「Microsoftのお膝元で行われる」という点でも、Microsoftにとっては理にかなった選択だったという。ポートランドは、Microsoftの本社があるワシントン州レドモンドにも近い。
Klepper氏も「ポートランドは多くの理由でうってつけの都市だ。管理が困難になることなく、興味深い実験を行えるだけの人口と面積を備えている。住民にはITに詳しく、多くのハイテク企業がある。ここではさまざまな業態の小規模企業が混在しているうえ、行政は進歩的で素早い対応が可能だ」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」