動画共有におけるYouTubeの優勢が揺るがない中、ソニーはこの分野において新しい戦略をとることにしたようだ。
ソニーが2006年8月に6500万ドルで買収した動画共有サイトのGrouperは米国時間7月16日、その名称と事業計画の変更を発表した。Grouperの名称は今後「Crackle」になる。
Grouperの創設者で、現在はCrackleのプレジデントを務めるJosh Felser氏は「ユーザー作成の動画に対し、われわれの興味はなくなってしまった」と述べた。「われわれは動画共有からは離れ、新しい才能の発掘を目標とする」(Felser氏)
以前は、Grouperの訪問者が同サイトに動画を投稿すると、最も人気の高いクリップがフロントページに表示されるようになっていた。サイトは、面白い動画が投稿されるのをじっと待っているだけだったが、 Crackleはビデオ制作者らに協力し、ヒット作品の制作を支援する。Felser氏によると、才能のあるビデオ制作者らのための資金提供、宣伝、配信活動により、Crackleは、インターネット版の映画会社を目指すという。
Crackleは、ソニーという有名な名称、その豊かな財源、および映画制作に関する専門知識を利用して、ウェブ上の最も熟練した映画制作者らの注意を引こうとしているようだ。Felser氏によると、コンテンツの質が高くなれば、閲覧者数も増加するだろうと考えているという。
これは新しい試みではない。「Revver」「Google Video」「Metacafe」など多くの動画サイトが、現金の提供や広告売り上げの一部提供という取り組みを試みてきた。しかしその結果は、成功したとはいえない。
Crackleがこれらと異なるのは、サイトが動画制作者らに大きなチャンスを与えようとしている点である。
Felser氏によると、Crackleは、最も優れた動画の制作者をSony Picturesの幹部に紹介したり、その作品を「PlayStation Portable」(PSP)や「Bravia TV」セットなどソニー製品に対して配信したり、革新的なアイデアに対してはその制作コストの一部を提供したりする予定であるという。
Felser氏は、「ハリウッドや名声への道を提供することにもなり得る」と述べた。
Grouperは何が失敗だったのかという点については、Felser氏は、YouTube以外はどこも、動画共有に関するビジネスモデルを再考する必要があったと述べた。
「同じコンテンツがすべてのサイトに存在している」とFelser氏は述べた。「同様に重要なのは、現状では利益につながらないということだ。広告主は予測不可能なコンテンツにリンクされたいとは思わない」(Felser氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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