Barry Diller氏率いるInterActiveCorp(IAC)は、動画共有サイト「Break.com」との買収交渉を中止する直前まで同社への「強い関心」を示していたという。Break.comとの買収交渉に詳しい消息筋2人が明らかにした。
この消息筋によると、IACの関係者は買収交渉が中断する前の2月には、Breakに対する調査を完了させていたという。IACおよびBreak両社の関係者は、「噂へのコメント」はしないと述べている。
ロサンゼルスで1998年に設立されたBreakは、ゲームビデオなどユーザー生成ビデオをストリーム配信し、最も人気の高かった投稿作品を買い取ることで、よりすぐれた映像制作者を集めていく試みを行っている。同社はこうした映像クリップに、広告を掲載している。
IACがBreakに興味を持った背景には、メディア企業やインターネット企業がオンラインビデオ分野を狙い続けている現状がある。最も、こうした分野に賭けて資金を投入することに躊躇する企業はまだ多い。
先ごろもMicrosoftが動画共有サイトRevverの「下調べ」を終えたという情報がCNET News.comに入ってきており、またYahooも2006年のうちにMetacafeに目を付けたと言われている。しかし同分野では、2006年10月にGoogleがYouTubeを16億5000万ドルで買収して以来、大規模な買収は行われていない。そのほかに目立った例といえば、ソニーが2006年8月にGrouperを6500万ドルで買収したことぐらいだ。
ユーザー生成型コンテンツは一般ユーザーの間で加熱しているが、一部のアナリストは、YouTubeの有名エンターテインメント企業との対立や、収益モデルの欠如が、その価値を減じるおそれがあると分析している。
YouTubeは、ViacomやNBC Universalとコンテンツのライセンスを認めさせようと交渉を重ねているが、道のりは険しいようだ。2月にはViacomが、「The Daily Show」や「The Colbert Report」などを含む同社が所有する映像クリップ10万件をサイトから削除することをYouTubeに要請した。YouTubeに対する批判の中には、プロが作ったコンテンツを視聴できなければ、YouTubeにユーザーが飽きてくるかもしれないという声もある。
動画共有ビジネスに懐疑的な人々は、いくら人気が高くてもそこから金銭的利益を生み出すのは難しいだろうと、以前から指摘している。優良大手企業がこうした分野に巨額の広告料を落とすケースはほとんどなく、アマチュアビデオをオンライン提供するビジネスが利益を上げることができるかはまだ分からない。
Yankee Group ResearchのアナリストであるJosh Martin氏は、「まったく手の届かないところにいる人々に、娯楽映像の制作をまかせることになってしまう。ユーザーにサイトを繰り返し閲覧してもらうためは、彼らが絶えずコンテンツを作り続ける必要がある。そんな不確実なビジネスに、広告主が金を落とすだろうか」と述べた。
一方で、IACのDiller氏は2月、ニューヨークで開催された「Media Summit」カンファレンスで、コンテンツサイトに投資をするなら、今こそまさにそのときだと語った。しかし、Diller氏は動画共有に関してはあまり興味を示さなかった。同氏は、ユーザーはアマチュア制作の動画にはすぐに飽き来て、次第に高品質の映像を求めるようになるだろうと述べる。
Diller氏は、オンラインを通じたアマチュア制作動画の共有は、「視聴者の感情の動きを心得ている専門家が制作した動画」とは、面白さや成果を見ても相手にならないと考えている、と述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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