目指すは「すべての商品検索の裏にコトハコあり」

小林ミノル、瀬井裕子(編集部)2007年07月05日 21時21分

 ECサイトにおける商品検索技術を開発しているベンチャー「コトハコ」。同社CEOの山内学氏は、1998年に筑波大学社会工学類を卒業後、ソフトハウスを経て、2000年ホスティング会社に移り、シリコンバレーに駐在。帰国後、ベンチャー企業を共同で立ち上げた後に、検索エンジンの研究をすべく、筑波大学の大学院に戻り、2004年にコトハコを設立する。

 「シリコンバレーから帰国した後、自分達で立ち上げた『プラットフォーム・フォー・イー・ドットコム』というベンチャーで、バナーの効果測定の技術開発を行っていたんです(その後、会社ごとバリューコマースに移籍)。しかし、グーグルが登場して、検索エンジン全盛の時代になっていった。じゃあ、検索エンジンの開発をやってみようかと。やるならしっかり勉強してみたかったので、大学院に戻ることにしました」

 2004年、筑波大の大学院に戻った山内氏は、図書館情報学という分野で文章の定量分析の研究に従事する。しかし、研究を取り巻く環境は、学部時代と一変していた。産学連携プロジェクトや、つくばインキュベーションラボが誕生し、東京からはベンチャーキャピタルが足しげく「筑波詣で」に通ってきていたのだ。ソフトイーサなど、筑波発のベンチャー企業も次々と生まれていた。

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 「なんだこりゃと(笑)。僕が学部にいた頃には考えられませんでした。それで、たまたま制作した検索システムのデモ版をVCの社員に見せたところ、興味を持ってくれたので、支援を受けて2004年の秋に『コトハコ』を立ち上げたんです。検索エンジンといえばすでにグーグル万歳の時代でしたが、検索技術は10〜20年たっても絶対に淘汰されないだろうと思いました。増加する一方の情報に、到達したいという要請は必ずあるはずなので。

 会社を設立したときは、大学院に在籍しながら仕事をしていましたが、1年後に辞めました。私自身、社会人と社会人大学院を経て、アカデミズムより技術やサービスを世の中に送り出すことの方が性格的に向いていることも分かったので」

 とはいえ、同社は立ち上げ後も筑波大学と密接な関係を持ち続けている。同社の所在地は、つくばインキュベーションラボ内にあり、また、CTOの平賀弘平氏は、現役の筑波大生である。

 「会社設立とほぼ同時に平賀をスカウトしました。最初は一人でやりますといっていたんですが、まずは、ナンバー2ぐらいが居心地がいいんだよと説き伏せて(笑)。筑波は、学生の一部にコアなメンバーがいるんです。『AC入試』という自己推薦入試枠があって、高専などからプログラミングに秀でた人間が入ってくる。彼らは、プログラミングそのものの基礎能力が我々と違いますね。結束力も固くて、会議のときにはノートパソコンが必須なんです。私自身もそういうギークでコアな文化をシリコンバレーで体験していたので、非常に懐かしかったです。

 ただ、筑波にいることのデメリットもあって、営業的にはやはり東京に拠点がないとダメです。今年から東京事務所もつくって、昼はこちらで私が慣れない営業をしているところです。夜は筑波に戻っています。僕以外の社員は夜型なので、しょうがなく(笑)開発につきあっています」

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