Walravens氏は、SAPとTomorrowNowの失態はOracleにとって「最終的に有利」に働くと指摘した。同社は、サポートと保守から1年で100億ドルを得ている。
あるアナリストは、SAPは信頼できる会社との評判だが、今後は顧客の信頼を回復させる努力が必要になる、と指摘した。
Morgan StanleyのアナリストPeter Kuper氏は、「同社との取引が間違いでない、と顧客に感じさせるのはSAP次第だ。確約ができなければ激しい反発があるかもしれないが、信頼回復の不可能な大惨事ではない」と語っている。
Oracleはこれに対し、訴訟を起こしたことで問題の影響範囲を探ることができた、と語った。
Oracleの社外法律顧問Geoff Howard氏は声明のなかで、「SAPのCEO、Henning Kagermann氏は、Oracleの知的財産を繰り返し不法にダウンロードしていたことを認めた。Oracleは、不法ダウンロードの重大性を明らかにし、SAPがOracleの知的財産を自社のビジネスでどのように利用したかをよく理解するために訴訟を起こした」と述べた。
OracleとSAPは、アプリケーション市場に加え、収益性の高いサポートおよびメンテナンス市場でも激しい競争を繰り広げている。
SAPは2005年、OracleがPeopleSoftとJ.D. Edwardsを買収した直後にTomorrowNowを買収している。TomorrowNowは、PeopleSoftやJ.D. Edwardsの顧客に対し、サードパーティーとしてメンテナンスとサポートを提供している。
SAPとTomorrowNowはOracleが大規模買収を完了した直後、同社の顧客獲得を目指して大規模なマーケティングキャンペーンを立ち上げている。
たとえば、HoneywellとMerckがTomorrowNowのサービスを利用している。しかし、SAPの裁判書類によると、TomorrowNowは顧客が保有するOracleのライセンスとパスワードを使い、これらの顧客が気付かないうちに両社のライセンスとは関連のない資料をダウンロードしたという。
SAPはまた、TomorrowNowが用意しているPeopleSoftのサマータイム関連資料の一部が、Oracleのサマータイム関連資料と「非常に似通っており、一部には同一の部分もある」ことを裁判書類のなかで認めている。
提出書類には、「TN(TomorrowNow)は『PeopleSoft Daylight Saving Time』ソリューションの調査および準備中にOracleの『DST Solution』を参考にしたが独自の調査も実施した、と被告は主張している」とある。
PeopleSoft Daylight Saving Timeソリューションには、PeopleSoftアプリケーション使用時のサマータイムへの対応方法を記した資料も用意されている。TomorrowNowでは、OracleのDSTと似ている、もしくは同一と判断される資料の使用を中止する計画だ。
SAPとOracleは、事例管理のための審問を9月4日に米国カリフォルニア北部連邦地方裁判所で開く。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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