いつか、宇宙飛行士が月の上で、液体望遠鏡を使って遠くの銀河を眺める日が来るかもしれない。
今週、自然科学雑誌「Nature」誌で発表された論文の中で、科学者らが、液体混合物を使った、他の望遠鏡では検知できない物体を映し出せる巨大な円盤型の鏡の製作を提案している。その論文によると、液体はドラム缶で輸送することができ、機械的に展開する円盤型のメッシュに移し流すことで利用できる仕組みになっており、固体の鏡よりもはるかに低コストで輸送可能になるという。科学者らは、メッシュの表面張力が、液体がメッシュの小さな穴から漏れるのを防止できるだろうと述べる。
これが実現すれば、口径が66〜328フィート(約20〜100m)の巨大な光学赤外線望遠鏡を作り出すことが可能になる。この望遠鏡なら、わい小銀河や通常銀河の暗くて見えにくい物体も映し出せる可能性があるという。
NASA Ames Research CenterのディレクターであるPete Worden氏は、「われわれは、月は液体鏡技術を使用する理想の環境であることを示してきた。この技術を使い、われわれが宇宙で現在製造できる望遠鏡より、はるかに大きな望遠鏡を製造可能になる」と述べる。
またWorden氏は、「恐らく直径は100mほどになるであろう、こうした巨大な望遠鏡を用いることにより、ビッグバン後の初期の宇宙が見られるかもしれない」と語る。Worden氏はその論文の共同執筆者でもある。
NASA Institute for Advanced Concepts(NIAC)からの資金援助を得ているこの研究は、NASAが総合的な目標の一環として月面再上陸を果たした際に、天文学の研究を支援する目的で計画されている。
その論文によると、液体混合物にはイオン性塩、クロムの層、銀粒子が含まれているという。科学者らによると、研究所で行った実験では、その鏡の反射性はまだ不十分だが、それは単に「技術的進歩の問題」にすぎないという。
では、宇宙飛行士が実際に液体鏡を使用するのはいつ頃か。科学者らは、月に最初の望遠鏡が作られるのは2020年以降になると予測している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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