「ちょい不良(わる)」「ちょいモテ」「艶女(アデージョ)」など、鮮烈なコピーで一世を風靡した「LEON」の岸田一郎前編集長が、2006年9月に自らの会社KI&Companyを立ち上げ、大きな話題となった。
その後、同年11月に同社はネットマガジン「@zino」を先行オープンさせていたが、2007年3月「洒落金男(リッチーノ)のための新雑誌「zino」をついに創刊。40代〜50代の男性富裕層をターゲットに、複合型ライフスタイルメディアを標榜している同社は、一体どのようなメディア戦略を練っているのだろうか。ネットにおけるラグジュアリービジネスの可能性について、岸田一郎代表取締役社長に話を聞いた。
岸田:これまでに合計8誌を編集長として創刊させてきました。しかし、紙だけの創刊が、そろそろ時代遅れになるだろうと。そこで、雑誌とネットでパラレルに走らせるライフスタイル誌の構想を思いついた。しかし、クロスメディアへの理解が、前の出版社には、あまりなかったんです。絶頂期になぜ辞めるんだと言われましたが、当の本人は、次のビジネスを考えていますから。
岸田:宣伝効果への期待からです。@zino自体が、本来の機能を果たしながら雑誌のPRにもなるということで先行させたんですよね。
岸田:zinoでは、三井不動産と組んで「港区にときめき別宅を持ちましょう」という連載企画を組んでいます。すると、車を2台所有している読者が、車をもう1台買うのを止めて、港区に別宅を持つようになる。それがメディアの影響力です。ただし、雑誌をやっている限り言いっぱなしで、紹介したものがたとえ100個売れてもわからない。でも、ウェブなら会員制にして、読者からのレスポンスを受けとめたり、イベントも開催できるので、囲い込めますよね。
岸田:「もはや雑誌ではなくウェブの時代だ」と言われていますが、そうではないと思います。それぞれのメディアにアドバンテージがあるわけです。
雑誌のメリットは総覧性です。車にしか興味のなかった人が、ふとサングラスの記事に目を止めて、たまたま読んでみたら“いいじゃない”と思って購買する。そういった可能性がある。
一方ウェブには、指名性がある。ある1つの商品をどこまでも深く掘り下げられるんです。たとえば雑誌において、万年筆は第一特集のテーマにはなりえません。もし万年筆の記事があったとしても、少しのスペースしか与えられない。しかし、ウェブならzino的な万年筆の記事をじっくり読みたいという読者の要求に答えられるわけですよ。
いまのところは、その辺の機能の違いを使い分けている感じじゃないですか? テクノロジーがもっと発達して、ウェブの機能が多様になってくればまた違ったことにもなるだろうけど。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス