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ウェブアプリケーションの進化が携帯端末のあり方を変える - (page 2)

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 とはいえ、前述したように、このシナリオは移動体通信事業者にとっては受け入れがたいものだ。というのも、従量課金という既存のビジネスモデルを否定するものだからだ。だが、その間隙を縫って登場してくる新規参入の移動体通信事業者にとっては、既存事業者とのパイ争いをするよりも、イー・モバイルのように常時接続型の代替サービスとPDA型の端末による新たな価値を掲げていくのが妥当な戦略となることは明らかであろう。

 もっとも、イー・モバイルが提供している現状のEM・ONEはWindows Mobile 5.0を採用しているものの、基本的に端末そのものの機能をコアにこれまで通りのクライアント機能を提供しているだけだ。冒頭話題にしたネットサービスとの連携に欠けている点で、いまだ不十分だといえるだろう。

 あるいは、現在、戦略的自由度という点で追い詰められてきている無線LAN接続事業者やISPが、あるいは鉄道などの公共インフラ事業者が、これまでと異なる発想で取り組む事業の対象としては適しているのかもしれない。

課題はユーザーサイドにもある

 電池寿命などハードに関連した問題も、大容量記憶装置のフラッシュメモリ化や非インテルアーキテクチャ型CPU、MRAMなどの不揮発性の次世代メモリなどを組み合わせることで解決可能ではないか。

 ウェブを経由したSaaS型サービスのバリエーションが増えれば、ハードの開発を加速させる要因になるであろう。むしろ前述のように、それらを最も提供するのに適しているはずの事業者の現業とのジレンマ、そのライバルとして登場するであろう新規参入者の戦略が課題になってくる。

 そして、もうひとつ課題がある。これらのサービスはコンシューマー向けに提供されても、すぐには大きな市場にならないだろうし、十分な対価も得られないということだ。また、Web 2.0型と漠然と言われるような組織形態に、既存の企業がすぐに移行するとも思えない。こういったことを考慮すれば、企業を対象とした事業としてスタートする可能性が高い。

 ただこのとき、ユーザーとなる企業にはSaaSを積極的に使う大きなメリットが当面なさそうなことが障壁になりそうだ。SaaS先進国の米国でも、SaaSを利用しているのはSOHOやベンチャーといった、既存の大型企業ではない組織が大半だ。

 過去、日本では、企業が独自にシステムを構築することが一般的だった。既存アプリケーションをベースにしたコアプロセスのシステムを開発するのは、かなりのカスタマイズを施すとしても依然として心理的な抵抗がある場合が多いという。そうなると、システム自体が外部の巨大なシステムの一部であり、メタなレイヤーではGoogleのような検索システムが常にその内容を(仮にそれに対して匿名性を付与しているにせよ)ウォッチしているとなると、どうも不安に思う人も多いのではないか。

 今後、優れたSaaSとそれに最適化した端末が用意されてくるとしても、そのサービスを誰が、どういった単位で、どこで提供するのか。その際の情報の匿名性、エスクロー制をどうやって担保するのかが課題になってくるのであろう。

 仮に、その部分が柔軟に変更できるようになると、企業という概念そのものかなり変わってくる可能性が高いのではないだろうか。

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