パワーテクノロジーは今期から、SEO事業と投資事業に加えて前述のアクセス解析サービス、携帯コンテンツ事業を軸に展開する。
株式公開についてはこれまで、「月次のフリーキャッシュフローが2000万円超、現金も4億円ある。低コストで儲けるサービスはいくらでも作れるから、上場するか否かは資金調達が必要な事業を行うと決めた時」としていた。
しかし、5月末に会社として2009年3月期をメドに上場することを正式に決議。新たな新規事業を展開する方針を打ち立てた模様だ。
課題もある。SEOは成長市場だが、Googleなど検索エンジンの動向に大きく左右されるビジネス。Googleの検索アルゴリズムに対する方針変更やほかの有力検索サービスの登場に対応し続けられる保証はない。
競合他社の動向も気になる。アウンコンサルティングは直近四半期で売り上げを前年同期比で倍増しており、GMOインターネットとアイオイクスは月額15万円の低価格SEOサービスを開始。アイレップも中期経営計画にSEO関連の強化を掲げている。
パワーテクノロジーはSEO専門会社ではないとしているが、一方では今後の事業拡大を行っていく上で、中島氏に依存する経営体制から脱却できるか否かも大きな課題となる。100人、300人と企業が成長していく中では必ず、「経営者の力業」だけでは乗り越えられないステージが必ずやってくる。
俺の存在価値を消していけ――。中島氏は最近、社内でこう繰り返している。自身の権限と仕事をできるだけ部下に委譲し、組織として強固な会社に育て上げるためだ。その考えは徹底しており、中島氏は最近、自らは代表権のない会長に退き、SEOの技術的な基盤を構築した創業メンバーである鷺谷氏を、代表権のある社長に就任させるというトップ人事を断行したほどだ。
さらには、通信制高校の代々木高校と共同で「パワーテクノロジー奨学金コース」を開設。ITとビジネスマインドを徹底的に叩き込んだエリートを養成する試みも行っている。ボランティアの位置付けではあるが、経営を担う将来的な戦力がここで育つことへの期待もにじませる。
大胆な人事と組織変更、教育に至るまでの施策を散りばめ、オーナー企業から強固な企業組織への転身を図るパワーテクノロジー。商人哲学に基づき、複数の事業展開で同社がさらなる成長を確実なものにするには、中島氏の商人感性を共有し合える組織構築の実現が重要となる。
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