「最近、安いSEO会社を見つけたんですよ」(通販支援企業幹部)──。
集客に悩んでいた一部の企業から最近、このような声が聞こえ始めてきた。
自社の製品やサービスに関連するキーワードが検索された際、その検索結果で自社サイトが上位表示されるようにする集客手法のSEO。このSEO支援サービスを展開する企業としては後発となるパワーテクノロジーが、急速に業界での存在感を高めている。
売上高は公表せずに営業利益のみを公表するという、未上場企業としては珍しい業績開示方針をとる同社。2007年3月期の営業利益は前期比2倍の1億6000万円、今期は同2.2倍の3億5000万円、来期は2.3倍の8億円を見込んでいる。
一方、アイレップの2006年9月期におけるSEO事業の売上高は前期比4.8倍の2億1700万円、同じくアウンコンサルティングの2006年5月期における同売上高は同29%増の1億9000万円。2社のSEO事業における粗利率が7割前後であることから、アイレップの推定営業利益は1億5000万円程度、アウンコンサルティングが1億3000万円程度と見ていいだろう。
決算月と開示項目が異なるため単純比較はできないが、パワーテクノロジーの事業規模はSEO支援サービスを行う有力企業2社と比べても見劣りしない。
同社のSEO支援サービスを継続利用している企業は2007年6月現在、半年前と比べてほぼ倍となる330社。営業活動を一切行っていないにもかかわらず、新規案件は次から次へと舞い込んでくるという。口コミを中心に利用企業数が増加している理由について、ある利用企業の元マーケティング担当者は「低価格と過去の実績、使いやすい順位管理ソフトが人気の決め手」と分析する。
中でも利用者から支持されている低価格かつ高品質のサービスは、完全分業によるオペレーション体制に依るところが大きい。東京の本社正社員らはSEOを行う上で重要となるGoogleなどの動向や効果的な上位表示を実現させる方法論について研究。これに基づき、秋田の外注請負部隊が完全分業体制による効率的な流れ作業を実施するという仕組みだ。
このオペレーション体制を構築したことにより、2004年4月のSEO事業開始当初から「他社が1ワード100万円でやっているところを4ワード20万円というような高品質かつ低価格のサービスを実現できた」(パワーテクノロジー代表取締役社長の鷺谷謙治氏)。
SEOと関連会社PIキャピタルによる投資事業を軸に成長を続けるパワーテクノロジー。一見、SEO専門会社に映る同社だが、会社設立の際に物資の支援で大きな役割を果たしたプレステージ・インターナショナル代表取締役の玉上進一氏に話を聞くと、予想外の言葉が返ってくる。
「わたしはSEO会社のパワーテクノロジーに投資したわけではない。中島という男に投資したのであって、SEOは中島という経営者にとっての道具の1つ。実は、SEO市場の成長性などにはあまり興味がない」
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