外国人従業員の身元確認用データベースの新設やグリーンカードの見直しを盛り込んだ大がかりな移民法改正法案は、米国時間6月7日の米上院で否決された。
この法案は現行移民法の全面的見直しを求める内容で、Bush大統領が後押していた。しかし、上院での決議投票の結果、45票対50票で予想外の審議中止になった。審議を継続するには、少なくとも60票が必要だった。
次第にボリュームを増して最近では628ページになった同法案(PDFファイル)は、不法入国者に適用される新しい「Z」ビザでは特赦を受けられなくなるとして、保守派から猛烈な抵抗を受けていた。
技術系企業もまた、この法案に対して不満をあらわにしていた。グリーンカードの見直しは、外国人労働者の求人や雇用に関する現行プロセスの予測性を損ない、政府による資格審査に委ねざるを得なくなる部分が増えるためだ。
6月6日付けの「Wall Street Journal」紙に掲載された意見記事の中で、移民法弁護士のMartin Lawler氏は、「Secure Borders, Economic Opportunity and Immigration Reform Act」と呼ばれるこの法案はメキシコ人の若者が永住権を得ることを可能にする一方で、同じく移民である俳優のMichael J. Fox氏やジャーナリストのPeter Jennings氏、カリフォルニア州知事のArnold Schwarzenegger氏らのグリーンカード取得を阻むだろう、と書いている。
もう1つの批判の焦点は、Employment Eligibility Verification System(EEVS)という新データベースを構築する案だ。すべての雇用者に対して、このデータベースを使い、現在および未来の従業員の移民としての状況を調査することを義務付けるもので、違反した場合は厳しい罰が科される。
米共和党を中心とした反対勢力は、大統領と米民主党の上院リーダーとの不安定な協力関係に致命的なダメージを与えた。上院リーダーたちは、6月第2週の一連の決議投票で、苦闘の末の妥協による法案の生き残りに期待していた。しかし、上院院内総務のHarry Reid氏(ネバダ州選出、民主党)は、同法案はいずれ再び議会に提出されるとの見通しを示している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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