台湾のVIA Technologiesが小型ノートPC「NanoBook」のプロトタイプを発表した。将来、サムスン電子やIntelの同様の小型PCと競合することが予想されるが、それらの競合製品よりも安く販売される予定だ。
またVIAはまた、新しいマザーボードも発表した。これは、およそ1年以内にスマートフォンに導入されることが予定されている。
このミニノートPCと携帯電話向けマザーボードは、今週、台湾の台北で開催されている国際見本市「Computex Taipei 2007」に展示されている。現在、VIAは携帯機器分野の市場シェアを拡大する戦略を進めており、これら2製品はその戦略の一環だ(同分野における現在のVIAの市場シェアは3%弱)。VIAのC7プロセッサは性能面でIntelやAdvanced Micro Devices(AMD)製チップに劣るが、消費電力は低く抑えられている。
消費電力が少ないということは、熱放出が少ないことを意味する。そのため、楽しみでPCをシガーボックスやスター・ウォーズグッズなどに組み込むユーザーにとっては、VIAのマザーボードやチップが魅力となっている。ポータブルPCメーカーのOQOは、最新のポケットサイズPCにVIA製チップを採用した。
VIAのマーケティング担当バイスプレジデントであるRichard Brown氏によると、NanoBookは、Windows XPの稼働時に1回の充電でおよそ5時間の連続使用が可能だという。また同PCは、1.2GHzのC7チップ、30Gバイトのハードドライブ、最大1Gバイトのメモリを搭載する。
またNanoBookは、7インチ型スクリーンと標準サイズ(若干小さめ)のキーボードを搭載し、重量はおよそ1.8ポンド(約816g)。各PCメーカーは、このNanoBookを599ドル以下で販売する予定。この価格は、同様のPCの価格を下回る。例えばサムスン電子は、Intel製チップを搭載した同社の「Ultra Mobile PC」(UMPC)の最新モデル「Q1 Ultra」を799〜1199ドルで販売予定だという。またOQOも、UMPCを1499ドルで販売している。
今のところ、NanoBookの製造に合意しているのは欧州のメーカー1社だが、Brown氏によると、VIAはおよそ1カ月以内に米国メーカーとも契約を結ぶ予定だという。現在、NanoBookのプロトタイプは台湾メーカーのFICが製造している。
現在、ミニノートPCや携帯型コンピュータは小規模の特定市場を占めている。消費者は、小さめの画面、比較的高い価格、小さめのキーボードなど、標準的なノートPCに付きまとう要素について懸念している。
しかし、Brown氏によると、ミニノートPCの需要は今後上向く可能性があるという。今やBroadbandの普及も進み、ブログやオンラインフォトサイトの登場により、多くの消費者のPCとの関わり方が変化した。今後は、標準サイズのノートPCよりも、さらに小型のPCを選ぶ消費者も出てくるだろう。
Brown氏は「最近は、どこへ行くにもノートPCを携帯しなければならない。たとえ子供を連れている場合でもだ」と述べた上で、「私はそれを極限のモビリティと見ている」と語った。
スマートフォン用のマザーボードはまだ設計コンセプトの段階だが、VIAは実用レベルのプロトタイプを開発し、できれば2008年までに発売したい意向だ。またチップは、世界の大半のノートPCやデスクトップPCに搭載されるチップに使用されているのと同じx86アーキテクチャを基礎としている。マザーボード上のプロセッサの消費電力を4分の1Wに抑えるのが目標だ。これは、いわゆるx86チップにしては低めだ。
現在、大半の携帯電話にはARMアーキテクチャを基礎とするチップが使用されている。ARMチップは一般に、x86チップに比べ消費電力は少ないが、性能面でx86チップに劣る。
Brown氏は、「x86チップについての課題は消費電力を抑えることだ」とした上で、「一方で、携帯電話の性能は向上させる必要がある」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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