「COOLPIX S50c」の特筆すべき点は無線LAN機能を内蔵したネットワーク対応カメラであるということだ。WiFi規格(IEEE802.11b/g)に対応した自宅の無線LANや街中の公衆無線LANアクセスポイントに接続すると、インターネットを利用した画像転送を行う事ができるのだ。画像を転送する方法として、ピクチャーメール、ピクチャーバンク、ニコンオンラインアルバムの3つの方法が用意されている。
ピクチャーメールは「S50c」からニコン専用サーバに画像を転送、保存されたURLを記載したメールをカメラで事前に指定したアドレスあてに送り、受け取った側で画像をダウンロードできるというものだ。
ピクチャーバンクは「S50c」に保存されている画像をニコン専用サーバの自分専用保存領域に画像を転送できるサービスだ。ピクチャーバンクに画像を転送するには「S50c」で任意の画像を選択するか、電源アダプターに接続すると同時に保存されている画像をすべて一斉に転送する方法がある。
ニコンオンラインアルバムはニコンが提供している「Nikon Imaging」会員になることで利用できるウェブアルバムで、友人等許可した相手に公開することで画像を共有することもできるサービスだ。「S50c」から直接画像を自分専用のアルバムに送信することが可能。またPCに保存された画像をウェブアルバムにアップロードすることもできる。
これらのサービスはいずれも「COOLPIX S50c」を無線LANでインターネットに接続すると利用可能だ。もちろん自宅の無線LAN環境だけでなく街中の公衆無線LANアクセスポイントに接続してサービスを利用することもできる。「S50c」で利用可能な公衆無線LANアクセスポイントは「HOTSPOT(NTTコミュニケーションズ)」「BBモバイルポイント(ソフトバンクテレコム)」のアクセスポイントとなる。特に「BBモバイルポイント」を利用してのアクセスは「S50c」発売日より2008年9月末日まで無料接続サービスキャンペーンが行われている。
このように「COOLPIX S50c」は無線LANを利用してインターネットにアクセスさえできれば、カメラ内の画像を簡単に転送することのできるカメラだ。最初に設定する際に若干の知識を必要とはするがマニュアルをしっかりと読んで行えばさほど難しくはない。この機能とサービスをうまく利用できればデジカメ+ネットという非常におもしろいツールとなるだろう。たとえば今撮った画像を、その場で相手のPCメールアドレスへと画像リンクメールを送ったり、ウェブアルバムに掲載して見る事もできる。また出先でカメラのメモリがいっぱいになってしまっても、ピクチャーバンクに画像を転送することでデータのバックアップを行いカメラ内のメモリを空けるということも可能だ。
無線LAN機能を内蔵した「COOLPIX S50c」はデジカメの新しい楽しみ方を提案してくれる。その楽しみは広大なネットの世界を伴いますます広がっていくことだろう。もちろん「COOLPIX S50c」はそれだけでなくカメラとしての性能も基本に忠実に作られている。高性能なレンズと素性の良い画像データはさすがニコンと言えるだろう。またシンプルでスタイリッシュなデザインにもとても魅力を感じる。だが背面液晶のお粗末さとレリーズタイムラグの大きさには正直戸惑いを感じてしまう。「ニコン」のカメラとして期待が大きいだけに、ぜひとも改良を待ちたいところだ。デジカメはまだまだ進化を続けて行くものなのだから。
isopyの物欲度 ☆☆☆
1967年福岡県生まれ、千葉県君津市育ち。小学生のときに自分専用のカメラを手にしてから写真の世界に魅せられる。東京写真専門学校(現、東京ビジュアルアーツ)卒業後、広告写真プロダクションにて撮影の基礎を学ぶ。現在はフリーカメラマンとして人物、商品、雑誌、舞台撮影など活動範囲は多岐に渡る。デジカメ専門誌においては撮影と記事を担当。
ZDNetにおいてもデジカメ新機種のレビューを担当する。さまざまな経験から導かれた撮影心情は、すべての被写体に愛情をもって接すること。どうやら、子どもと動物には好かれるらしい。
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